制限時間30分!?ペルーの温泉「バーニョス・デル・インカ」旅行記

海外体験

 

最初に言っておきますが、

自分は時間に縛られるのが本当に苦手です。

 

 

Baños del Inca(バーニョス・デル・インカ)について

温泉の町の場所

 

多くの日本人にとって
温泉といえば日本!
というイメージが強いと思います。

実は、ペルーにも火山がたくさんあり、そのため温泉も多く存在しているのです。

 

そんなペルーの温泉、そのひとつを一緒に見てみましょう。

 

今回行った温泉はこちら、

アンデス山脈山中にあるバーニョス・デル・インカという小さな町。

お隣のカハマルカは、ガイドブックにも載っている観光スポットです。

 

簡単な案内

バーニョス・デル・インカ。

日本語訳をすると「インカの浴室」。
その昔、インカの皇帝であったアタワルパが愛用していたという温泉地です。

そんな山岳地帯の町で運営されている、Pozas Termales(ポサス・テルマレス)という温泉に入ってきました。

poza はスペイン語で水たまり、termales は温泉なので、「水たまり温泉」という名前でしょうか。

 

町のど真ん中に大きな公園のような区域があり、そこが温泉施設になっています。

非常に目立ちます。
さすが温泉の町。

お値段は6ソル(215円)から。(2016年の情報)
個室の温泉からプールになっている大衆温泉、マッサージまであります。

※ソル

ペルーの貨幣単位で、正式名称はヌエボソル。
1ソル=約33円。(2017年7月現在)
ここでは手数料なども考慮し、35円で計算しています。

バーニョス・デル・インカに行ってみよう

カハマルカから自転車でGO

まずは背景からちょこっと説明させてください。

自転車旅行中の著者は
カハマルカでついに愛用の MacBook が故障。

雨期で天気が悪く出発するのが億劫になっていたことも重なり、
ここで長期間ダラダラしていたのだ!
人はこれを、沈没という。

“せっかく長くいるのだから”という理由から、
以前知り合いに紹介してもらった温泉地へと足を運ぼう、ということになったのだった。
一体私、これからどうなっちゃうの~!?

 

ということで、天気のいい日をねらい自転車に乗って隣町まで行くことになりました。

 

途中まで自転車道がつづき、空は快晴。

とても走りやすい道で非常に気持ちよく走ることができました。

ずっとホテルでウダウダしていたために鈍りきった自分の脚は若干悲鳴を上げていましたが、それも気にならないくらい。

 

無事にバーニョス・デル・インカに到着。
小さな食堂で昼ご飯を食べ、ウロウロしていると温泉の看板が目に入りました。

特に下調べもしていなかったのですが、簡単に入り口を見つけることができ上機嫌。

 

施設のゲートには10人ほど並んでいました。

平日の昼間にこの人の量。
人気具合がうかがい知れますね。

 

よくわからないので、スタッフのおじさんに勧められるまま6ソル(215円)を手渡し、チケットをちぎってもらいます。

おじさんたちの休憩場所の隣に自転車を停めさせてもらい、中へ。

 

渡り廊下のような通路を抜けた先は大きな庭のようになっていて、温泉のある小屋があちこちに散らばっていました。

真ん中には源泉が流れる池、というか水たまりが。
だから pozas(水たまり)なのかな。

そちらへ近づこうとすると、

 

 

 

ピピーッ(`ゝ´)/

 

σ(・・ ) yo?

 

 

そばで立っていた男性に突然笛を鳴らされました。

「危ないから近寄っちゃダメ!」
ときつく注意を受ける自分。

どうやらこの水、熱湯だったらしいです。

そんなに怒らなくってもいいのになぁ。

 

その警備員にチケットを見せると、すぐ近くの小屋をさしました。
そちらへ。

 

そこに見えたのは待合所のような空間でした。
むわっとした湿度が肌をつつみます。

それこそ日本の銭湯の脱衣所といった雰囲気。
服を入れておく棚を全部どけ、壁際にいすを並べた、といった感じでした。

奥に通路があり、浴室への扉がいくつも並んでいます。


↑掃除のための巨大なほうきが立てかけてある

 

順番がまわって来て、部屋まで案内されます。

ここで、初めて個室だということに気がつきました。
日本の銭湯をイメージしていたので、これにはビックリ。

 

めちゃくちゃリッチじゃないですか!! 安いのに。

 

 

個人の浴室というとホテルのバスルームが浮かんでくるかもしれませんが、中は意外と広めで、まさに一人用の銭湯といった風体です。

左手側に、公園にあるようなベンチが設置してあります。
ここが着替えの場所になっているようです。

すぐ奥に深めの浴槽。
階段と手すりがついていて、銭湯の湯船と室内プールを足して2で割ったような形をしています。

 

ベンチの上に注意書きが張られていました。

スペイン語は堪能ではないのでよくわかりませんが、なにやら不穏な文字が。

 

 

30 minutos。

 

30分。

 

 

そう書かれていたのです。

 

え、これ制限時間付きなの!?

しかもたった30分?

 

全然リッチなんかじゃないじゃないですか!!!
お値段通り。

 

さらに、浴槽は空っぽ。

待って待って! これお湯を自分で入れて、それでいて30分なの!!?

 

温泉で何が起きたか

とにかく、今は考えている場合ではない。
急がなくては。

そう思った瞬間、自分は浴室の扉を開け通路へと出ました。

 

 

「すみません、トイレどこですか…」

 

 

よりにもよってこんな時にトイレとは!

しかも、大のほう。

 

さっき食べた昼食のせいだ、
と腹具合を冷静に分析しながらトイレへ小走りで入ります。

 

指し示されたトイレには紙がなく、さっきの係員さんを探しに通路をウロウロ。

これで8分ほどタイムロス。

残り、22分。

※トイレ

余談だが、baño(バニョ)はバスルームのことなので、トイレを表すときにも使われる。つまり Baños del Inca の baño に入ったというわけ。

~~~~~~~~~~

 

浴室に戻り、服を脱ぎながらお湯を張りましょう。

まずは排水口にふたをします。

これ、薄い金属の板をポンと上に乗せるだけ。
これだけで本当に水がせき止められるのか心配です。

 

では、お湯を出しますね。

栓をひねると、一気にドバドバ出てくる温泉。

 

ってかね、このお湯、めちゃくちゃ熱いの。

熱湯なの。

 

この浴槽の深さとこの湯量、そしてこの温度。

こ、これに入るの…?

 

どうすればいいのかわからない自分。

 

 

よくよく見ると水を出すレバーがありました。

そりゃそうですよね。よかった。

栓をひねります。

 

・・・一応水は出てきたんですがね、量がね、全然心もとないんです。
チョロチョロとしか出ない。

修行僧を思わせるお湯の量に、全然ついてけてないんです。水が。


↑熱湯が徐々に増えていく恐怖

 

あっつあつの湯は、大量に出るか止まるかの2択。
いい塩梅にチョロチョロ出すなんて考えは毛頭ないらしく、妥協する素振りはありません。

これどうしよう。

 

時間はないけど、とりあえずお湯を出したり止めたりしようか。
じゃないともうどうしようもない。

 

湯のレバーを右に左に振りながら、勢いよく出ては止まり、勢いよく出ては止まり。
そんな温度調節。

 

一定の間隔でリズミカルにおこなうこの左右運動に、だんだんノッてくる自分。

イェイイェイと体を揺らしてレバーを操作します。

 

 

 

すると悲劇が。

 

 

 

 

イェイイェイ体でロックを奏でていると、

ちょっとハードロックすぎたのかな、

眼鏡がね、

吹っ飛びました。

 

 

 

しかもこの眼鏡、フレームが割れているんですよ。

レンズが片方はずれ、どっかに飛んでいきました。

 

方向的に、おそらく湯船のなかに。

 

 

 

 

 

 

ミ ラ ク ル ! ! !

 

あのー、時間ないんですけど。

 

 

ご存知の通り、レンズは透明。
この湯船に入っていたら簡単には見つかりそうにありません。

最悪、今まで溜めてきた水をすべて抜くしかない。

やっとひざ上くらいまで来たのに…!

 

急いでお湯を止め、浴槽のなかをまさぐります。

はた目からは遊んでいるように見えたことでしょう。

でもね、こっちは必至。
めちゃくちゃ熱いんですがそんなこと言ってる場合ではない。

 

水をはね飛ばしながら探すこと10分。

レンズは服を置いているベンチの下に落ちていました・・・・・

 

残り7分。

 

~~~~~~~~~~

 

なんとかお湯を溜めて適温に調整し、急いで入ります。

若干湯量は足りてないですが、このさい贅沢は言えません。

 

ざぶん。

 

 

 

ふぅ~。

 

 

気持ちいい。

たしかに気持ちいいのですが。

 

見た目通りかなりの深さで、温泉というよりプール感が前面に出てしまっています。

ゆったり浸かるというより、どっちかというとアクティビティ。

一人ウォーターパーク状態。

 

 

いやーそれにしても、シャワーではないちゃんとしたお風呂なんて何年振りだろう。

カナダのドーソンシティにあるホステルで入ったくらいか。

でもあれはお湯には浸かれなかったから、もしかしたら日本を出て初めてかもしれない。

 

 

そんなことを考えながら一人でバチャバチャ遊んでいたら、無情にも係員さんから

「あと5分です」

の声。

 

 

 

 

 

…早くね?

 

数分もぬくもれてないんですけど。

せっかくだからと時間ギリギリまで温まり、急いで着替えて外へ。

 

つ、疲れた…

全然ゆっくりできなかった。

温泉って、もっとこうリフレッシュするところじゃなかったっけ。

 

色々な角度から温泉の常識が覆された一日でした。

ちょっとした裏技

この温泉、一人あたり30分らしく、2人で入れば1時間になるそうです。
やったね!

おまけ:隣の都市、カハマルカ

バーニョス・デル・インカに行く人の多くがカハマルカを拠点にすることと思います。
ついでに、こちらの紹介もちょっとだけしておきましょう。

どんな街?

普通の街です。
特に見どころがあるわけではありません。

ただ、街並みがきれいです。

 

中南米では町の中心に広場があるのですが、ここはそれがめちゃくちゃ広くて清潔でした。

毎日清掃員さんがゴミ拾いや植え替えをしているので、こんなにきれいなんですね。

オシャレな雰囲気のセントロ(中心部)はぶらぶら街散歩が楽しくできますが、時間帯によって人や車があふれ返り、そこにぶつかると少し歩きにくいです。


↑メルカド(住民向けの市場)の入口

 

広場からのびる階段。
標高2750m。
見るからにキツそうです。

ここを登ると、家々が見下ろせます。

全体的に赤っぽい町ですね。

 

近くには奇岩や遺跡のあるスポットがあり、観光するならそちらへ足を運ぶのがいいかと思います。

自分は行ってないのでどんな感じかわかりませんが、ホテルやインフォメーションセンターにはそれらの写真が展示してありました。

なので、ツアーを利用する場合も単独で行く場合もこの町で情報がもらえるはずです。


↑代わりにここから20km離れた丘の風景を。見えにくいがずっと奥にカハマルカの固まりがある

 

治安はまずまず。
スリや置き引きなどに気をつけていれば危険は少ないでしょう。

全体的に危険度が高めのペルーですが、アンデスが連なる山側(シエラと呼ばれる高地)は治安がそこまで悪くありません。
特別良いわけでもありませんけれども。

 

お祭りに注意!


↑山道を走っていると、対向車線からインクだらけの車が通りすぎる

 

ペルーでは3月の最後にカルナバルというお祭りがあります。

それに向けて、大体1月すぎからお祭りムードが高まってくるようです。

 

この伝統的な祭り、
いわゆる “水かけ祭り” なのです。

道を歩くと水風船を投げられ、家や車の窓からバケツをひっくり返され、カラフルなインクを飛ばされ・・・・・

 

もう最悪!!!

 

スプラトゥーンかよ! って。

 

特にこのあたりは標高が高いため寒く、雨期なので服は乾きにくいです。

場所問わず外を歩くだけで強制参加させられるので、濡れたくない人は1~3月のこの時期は避けたほうがいいと思います。


↑パレードで練り歩く人たち。水でびしょびしょ


↑窓から水をかける機会をうかがう住民

知らずに被害にあったら本当にムカつくから!
気をつけて!!

 

逆に、リアルスプラトゥーン(小規模)を体験したいという方はこの時期を狙ってみるのも一興かと。

※スプラトゥーン

任天堂から WiiU や Switch で発売されている TPS(サード・パーソン・シューティング)の陣取りゲーム。
擬人化されたイカが蛍光色のスミをかけ合い、地面を塗ったり相手の邪魔をしたりする。
わかりやすいルールと見た目のポップさが特徴で、それにより見てるだけでも楽しめるため、動画や生放送で人気が出た。

カハマルカでショッピング

カハマルカの周辺地域は、山の上ということもあり田舎です。

が、この町は別。
ここには割となんでもそろってる!

 

このあたりを旅行する方は、カハマルカで旅の準備をしておくといいでしょう。

チャリダーの自分はここで自転車のメンテナンスや修理をお願いしました。
ブレーキパッドなんてほかではなかなか手に入らないので、大助かり。


↑細かい調整までしてくれました


↑なかなか売ってないディスクブレーキパッドを購入

 

カハマルカを歩いていると、男性たちの多くは革ジャケットを着ているのに気がつきます。

革が有名なのでしょうか、中心広場の近くに革製品を扱う小さな店が何店舗かありました。

 

自分も真似して購入。

本当は載積量に余裕がないのですが、つい。
だってカッコよかったんだもん。


↑わがままを言って襟をつけてもらった。オーダーメイドみたいで嬉しい

さらに、ナイフのシースが破けていたので、ここで修復。

おまけで無料にしてくれました。ありがたい。

 

また、ケーキやプリン、チョコレートなど様々なスイーツが売っているのも魅力です。


↑チョコムースと、チョコのお椀に入ったカップケーキ。大体2ソル(70円)~4ソル(140円)くらい

ただし、気をつけたいのがこちら。

皿のようなかわいい形をしたチョコレート。
通りで売っていたのでひとつ購入し食べてみましたが、

苦いの!
親のかたきかってほど。

まさかのカカオ100%。

このまま食べるものじゃなかったのかもしれません。

 

こんな仮面をそろえている店も。

仮面舞踏会を思わせるこれらの仮面。
カルナバルのパレードでつけている人がいたので、きっとお祭り用でしょう。

欲しかったのですが、なにぶん荷物がいっぱいで。
無理でした。

 

 

というところで、

以上、温泉のドタバタ劇とカハマルカ紹介でした。

おしまい。

 

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孤高の非日常体験チャリダートリップラー「ReiCoen」

小さなころから引っ込み思案で人付き合いが苦手。 幼稚園時代から、自分はまわりの子よりも言葉での自己表現ができないことを自覚し始める。コミュニケーションがうまく取れないことに危機感を覚え、言葉について、気持ちの伝え方についてを模索し練習する。⇒プロフィールの詳細はこちら
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