【最強の麻薬?医療?】アヤワスカのリアル体験記!脳内トリップの先にあったモノとは!?

事の発端は、ペルーの首都リマの日本人宿に泊まっていたときのこと。

同じ宿に泊まっていた人が
“アヤワスカ”という薬を飲んでトランス状態になる謎の儀式を受けてきた、そしてもう一度行ってくる
と言い出したので、ついていくことにしました。

 

彼女が言うには、アヤワスカは精神の治療、すなわち医療行為なのだそうです。

話を聞いた当初は、

シャーマンが歌うと幻覚が見える
とか、
気持ち悪くなって思いっきり吐く
とか、

そんな恐怖をあおる内容だったので、てっきりあやしい麻薬かなにかかと警戒していました。

 

しかし、そういう違法薬物とは関係ない(日本では規制されてるけど)どころか麻薬依存症の治療にも使えるらしいということで、

とりあえず ハマって抜け出せなくなる! なんてことは少なくともなさそう。

なら行ってみよう。

という気になったのです。

 

医療だし。
おもしろそうだし。

 

さらに自分は精神的に弱い部分があるので、その解決の糸口になればと淡い期待を胸に、当日を迎えました。

これは、そんな旅行話。

 

アヤワスカってなに?

画像出典:wikipedia、アヤワスカ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Banisteriopsiscaapi.jpg

 

アヤワスカとは、南米のジャングル(セルバと呼ばれる)地帯、アマゾン川流域に生息する植物のこと。
綱のようにネジネジとからまった形をして生えています。

これを煮詰めて作ったお茶は精神に作用し、強力な幻覚・幻聴とともに嘔吐や下痢をひき起こします。

アヤワスカが利用される場は、主に先住民族の“セレモニー”と呼ばれる儀式です。
ある種の民間療法としても行われるセレモニーでは、修行をつんだシャーマンがイカロスという歌を夜通し歌いつづけることにより、アヤワスカの効果を増幅させます。

アヤワスカには嘔吐や下痢による身体のデトックス効果があり、また幻覚を利用した占い呪術、自我を一時的に崩壊させ深層心理を覗くことによる精神疾患の改善効果もあるそうです。

 

アヤワスカという呼び名はペルーのもので、コロンビアではヤヘイ、ブラジルではカーピなど、地方によって呼び方が違います。

 

ペルーの首都からジャングルへ

 

ほとんどの荷物をリマに預けて行くので、世界旅行中の自分にとっては「旅行のなかの小旅行」という、なんだかよくわからない今回の計画。

まずはプカルパ(Pucallpa)というジャングルの町へ行くようです。

 

ローカルバスを乗り継ぎ、旧市街を通りすぎた辺りにあるバスターミナルへとやってきました。

普段は自転車移動している自分。
バスにはほぼ乗らないため勝手がまったくわからず、指示に従ってただただついていくばかり。

そんな状態だったので、実はどこで乗車したのかそこまで覚えていないのですが、たしかこの辺にプカルパ行きの小さなバスターミナルがあったと思います。↓


この辺りは他にもいくつかプカルパ行きのターミナルがあるそうです。

↓周辺地図はこちらで見ると便利です。

バスの注意点

・リマはバスターミナルがかたまっておらず、数多くのバス会社のターミナルが点在していてわかりづらいので注意。

・プカルパ行の値段は片道60ソル(2100円)~ 80ソル(2800円)くらいでした。(2016年の情報)
値段の差は、時間帯とバスの設備などに関係しているみたいです。

・バスに乗る前に飲み物や軽食を用意しておいた方がいいです。
安値のバスでも簡単な弁当が出ましたし、途中道の駅のようなところで休憩をはさみますが、基本十数時間と車内に拘束されることになります。
トイレに紙がないことも普通なので、トイレットペーパーも持参しましょう。

・バスに乗る際にはパスポートの提示が必要です。
コピーだと断られることもあるので、荷物をリマなど別の町に置いておく場合は実物をもって行きましょう。
ペルーではバス内でのスリが非常に多いので、シークレットポーチがあると便利です。

・かなり揺れる上に標高の高いところも通るため、体調が不安な方は強力な酔い止めや重ね着用の服を持っていくことをオススメします。
山のうえは冬並みに寒いです。

※シークレットポーチ

ズボンの中にパスポートや現金、カードなどを隠せるポーチ。スリなどに盗られにくいが、強盗にはバレてるのであまり効力はない。

日本では、Loftなど百貨店の旅行グッズコーナーに置いてあることが多い。
また、アウトドアショップにそろえてあることも。

現地で欲しい場合は、リマの新市街にある海沿いの有名なショッピングモール「ラルコマール」内に旅行グッズを取り扱っている店があった。(2016年の情報)
質より値段を気にする方は、市場や旧市街などを探せばもっと安くそれっぽいものが見つかるかもしれない。

 

 

 

アンデス山脈の峠を越え、バスに揺られること約20時間
ジャングルの都市、プカルパに到着しました。

 

バスターミナルからモトタクシーで20分ほど走ると着く、川の近くのメルカド(市場)へ。
タクシー代は5ソル(175円)前後。

運転手の「サンフランシスコ村まで連れていかせて!」という言葉を巧みにかわし、下車します。

 

こちら、場所の名前がわかりません! ここもかよ!!
いやー、本当にまかせっきりだったもので・・・

 

一応調べてみたのですが、いくつかのブログには「ヤリナコチャ」という名前が出ていたり(地名が書かれたブログ自体あまりない)、地図を見るとそれっぽいところは「ウカヤリ」という名前があったり(本当にそこかわからない)、カフェに置いてあったロンリープラネットには「サンマルティン」と書かれていたり(英語なので解読困難)、全部バラバラ!! あまり適当なことを載せたくないので、はっきりと書かないでおきます。

 

しかしアヤワスカはこの辺では超有名な観光スポットなので、タクシーの人に「サンフランシスコ村へ行きたい」と言えばボート乗り場近くへ連れて行ってくれるはずです。

他に行った人たちもみな「サンフランシスコ」を連呼したと言っていました。

それで大丈夫!
乗る前に値段の確認もお忘れなく。

 

場所のヒントにはならないかもしれませんが、船着き場近くのメルカド2階(市場の食堂)から撮った風景はこちら↓

かなりボロボロですね。
プカルパは大きな町なので、中心部はもっとずっと栄えています。

 

※モトタクシー

moto taxi。バイクタクシーのスペイン語。

コロンビアではバイクの後ろにそのまま座る二人乗りスタイルだったモトタクシーなのだが、ペルーでは改造されて屋根付き人力車のような乗り場がついていて豪勢である。
だからといって乗り心地はすごくいいわけでもない。

交渉次第で安くしてくれることもあるが、治安の悪い場所や観光地ではぼったくられることも多々あるので注意。(著者経験済み)

 

メルカドでもう一人の日本人同行者と落ちあい、市場で果物などを買います。

 

サンフランシスコ村には店が少ないので、ある程度の食べ物や水、トイレットペーパーなどをここプカルパでそろえるといいでしょう。

バナナはお腹も膨らみ持ち運びも便利ですが、
そのまま置いていると匂いにつられたゴキブリが部屋のなかに入ってきます。ジャングルなので。
(実際にじゃんじゃん入ってきて大騒ぎになった)

匂いの強いものは、なにか密閉できるものに入れるほうがいいかもしれません。

 

装備を調えた後、渡し船がある川のほうへしばらく歩きます。

 

他の人たちが船の値段交渉をしている間、ピラニアを持った人が通りかかったので見せてもらうことにしました。

実はアマゾンへ行ったらずっとやってみたかったことがあって。
それは、ピラニアを食べること!

「ちょっと持ってくかい?」

と言ってくれるおじさん。

 

…思いがけず、夢が叶ってしまった!?

 

しかし生のまま持って行っても向こうで調理できるかわからないので、泣く泣くあきらめることに。

いつかピラニアの塩焼きを食べられる日はやって来るのでしょうか。


↑さよならピラニアさん…(´;ω;`)

せっかく来たのだから、ほかにも見物してみましょう。
こちらのピンク色をした液体は「カムカム」というジュース。

ペルーのジャングル地帯特産の果物で、ビタミンなど栄養が豊富なのだそうです。

砂糖がたくさん入っていて甘ずっぱく、アセロラジュースに似た味がしました。
暑くて汗を大量にかくジャングルではありがたいですね。

 

 

あまりに長い時間船の交渉しているので、様子を見に行ってみます。

普段なら4ソル(140円)前後で乗り合いボートに乗れるのですが、この日は乗客が他に誰もいなかったそうで、一人20ソル(700円)ほど取られる
という話で立て込んでるよう。

料金の差、なんと5倍!!

 

粘りに粘ったあげくしぶしぶ了承しました。

これだったら陸地づたいにモトタクシーで向かった方が安かったのでは・・・

ゆったりボートでくつろぎ、30分ほどでサンフランシスコ村の岸辺に到着しました。

 

プカルパに着いてからのポイント

「サンフランシスコ」というワードをとにかく伝えるべし! 「アヤワスカ」でも可。

・この町で簡単な食料トイレットペーパー蚊取り線香などを買っておきましょう。
バスターミナルのそばにもスーパーがありますし(といっても結構歩く)、ボート乗り場近くの市場なら安くそろえられます。

シャーマンの集まる村

サンフランシスコ村は、まさに”ジャングルの村”といった様相。
道は整備されておらず、とても静かです。


↑村の主要道路

 

泊まった場所は、村人が管理している小屋。
おそらくシャーマンのつてで借りたものと思います。

旅行者に貸し出ししている小屋はいくつかあったようなので、現地の人とコミュニケーション(スペイン語 or シピーボ語、人によっては英語)が簡単にでもできそうな人は交渉してみるといいと思います。

 

他に、寄らなかったので詳しくはわかりませんが、ここでは外国人向けの「スイピーノ」という宿が有名らしいです。
宿らしい宿はそこしかなさそうでした。


↑泊まった小屋。中に電球、小さなテーブル、蚊帳つきベッドが設置してある。一泊25ソル(875円)で、後日20ソル(700円)の小屋に移った。シャワーとトイレは野外にあり

 

 

どんな感じの村なのか、簡単に紹介しておきましょう。

家の多くは上画像の小屋のようなトタン屋根か、こういった藁ぶき屋根です。

ここは暑いので、どこも開け放たれています。
だから室内にはものすごく虫が多い!
虫よけスプレーと蚊取り線香は必須です。

 

広場の壁には独特な絵が描かれていました。
イベントのポスターや看板のように使われているみたいです。

 

村にある数少ない食堂のなかでも特に値段の張るところ。
そこには、アトリエがありました。

アヤワスカで見た「ヴィジョン」と呼ばれる幻覚を絵にしているそうです。

アヤワスカはヘビの精霊が宿るらしく、そんなイメージもありました。

 

ここは時間がゆっくり流れ、ものすごく自由。
というか、退屈です。

このレストランのそばにくくりつけてあったスラックラインに初挑戦してみたり、他のシャーマンや旅行者と話をしたり、村人たちがプレーするバレーやサッカーを観戦したり、
そんな感じでありあまる時間をつぶしていました。

 

↓スラックライン。現地の人がやっているのを見よう見まねで試したが全然できなかった

画像出典:ウィキペディア、スラックライン
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cambridgeslackerssaf40.jpg

 

真っ暗闇のなかのセレモニー

アヤワスカを飲む儀式――セレモニー当日。

 

この日は昼食以降なにも食べてはいけない決まりです。
お腹を空かせながら夜を待ちました。

本来は、普段から肉などを食べないヴィーガン(菜食主義者)よりもっと節制した生活をして挑むのがいいのだそうです。
ここまで案内してくれた人は今回のセレモニーにあたり、肉の他に砂糖も抜いてきたと言っていました。

香辛料も避けるべきなのですが、ペルー料理はハーブなどをふんだんに使うものが多いので、そこまで徹底する場合は自炊しなくては難しいでしょう。

 

ちなみにセレモニーの料金はシャーマンによって異なり、大体100ソル(3500円)~ 300ソル(10500円)
自分は200ソル(7000円)でした。

年々値上がりしています。

 

セレモニーは上にも挙げたスイピーノという宿でもやってくれるということですが、本当は自分に合ったシャーマンをフィーリングで探してその人に頼むのがいいのだそうです。

今回紹介してくれたシャーマンは、初対面時にものすごい形相でこちらを見つめられ若干心配でした。
しかし、後々彼にしてもらって正解だったと思えました。

ちゃんと話をしてみると、すごく適当で気の抜けた性格をしていて、それが自分には合っていたようです。

 

 

夜。

日本人3人で向かったセレモニー場は広い縁側のようになっていました。
セレモニー場というか、シャーマンの自宅です。

蚊帳のなかに入るとそこには布団が敷かれ、枕元に吐しゃ物を受け止めるバケツ、それからペットボトルに入った見るからに怪しいアヤワスカの濃い液体が一本置いてありました。

トイレットペーパーやタオル、寒さ対策は各自持参。

 

写真にある、ペットボトルの上に置かれたエッグカップのような杯にアヤワスカを並々注ぎ、ひとりひとりに配って飲み干します。

 

これが ものすごくマズイと聞いていて不安でした。

一緒に参加したシャーマンの奥さん(シャーマニズム研究家、フランス人)なんかは、オレンジジュースと一緒に飲んでいるほど。

しかし実際飲んでみると、
・・・あれ? それほどでもない。

たしかに苦くて酸っぱくてなにかが腐ったような味はするのですが、思っていたよりもひどくありません。

周りは「マズイマズイ」言ってましたけど。

 

飲んだらあとは横になるだけです。
電気が消され、真っ暗になりました。

いざ、セレモニーの始まりです。

 

1、極彩色の模様が見え始める

真っ暗闇のなかで10分ほど横になっていると、目の前の空間に色鮮やかな模様が現れ始めた。

カクカクとした波線が幾重にも重なり、縦に流れていく。
またその線が、奥にうっすら見える壁や窓の縁をつたっていく様も見えた。

赤、緑、オレンジ、黄色。
なんだか目がチカチカする。
奇妙な感じだ。

 

↓こんな風にちらちらと動く線が見えてた ※何が見えるかは人によって違うらしいです

←窓枠や柱の輪郭をこの線がふち取る

 

 

 

 

 

2、シャーマンの歌と同時に具合が悪くなる

シャーマンの途切れ途切れ口からこぼれる鼻歌が枕元で聞こえる。

それと同時に、締めつけられるような頭痛が10秒ほど。
それから、のどを絞められているような感覚。

苦しい。

頭の中ではなぜか、家族のこと、そして自分の悩みや短所などの心配事が次々と出てくる。
まるで起きながらにして夢を見ているようだった。
考えようとすることなく、頭が高速で回転しつづけている。

ネガティブな内容がどんどん押し寄せてきて、落ち込んだ。

 

シャーマンが歌うイカロスのメロディがはっきりとしてきて、自分は気持ち悪さで我に返った。

貧血のような感覚だった。

歌しかない静寂の中、時折まわりから嘔吐している音が聞こえる。

怖かった。

頭の中で声が聞こえた。

「お前は吐かなくてもいい。吐きたかったら吐いてもいいけれど」

吐くほどの気持ち悪さでもなかったため、手で顔を覆いこれを乗り越えた。

 

3、自己肯定感と楽しさでいっぱいになる

気持ち悪さはすぐに収まり、今度は気分がよくなってきた。

呼吸が深くなり、息を吐くときに体の悪いものも一緒に出ていく気がした。
あくびのような深呼吸を繰り返す。

 

さっきとは打ってかわり、頭のなかでは自分が肯定され、褒められ、はげまされている。
その言葉ひとつひとつに「うん・・・うん・・・」と声を出して相槌を打っている自分がいた。

 

それから、虫や動物に変身して草原や森を走り回っているイメージが次々と脳内に出てきて、それと同時にこれまでのことや今後どうすればいいのかが聞こえてきた。

聞こえるというより、自分で勝手にそう考えてしまっているという方が近いかもしれない。
「その調子でいけ」みたいなことを、思おうとせず思ってしまっている感じ。

まわりの人たちも独り言を言ったりフラフラと立ち上がったりしているようだった。
ぶつぶつ、がさごそ、音が鳴っている。

 

すぐ隣で歌っているシャーマンの鼻歌が、なぜだかすごく気になってくる。
妙に耳に入ってくるのだ。

シャーマンが歌を止めるとさみしくなり、自分が代わりに歌ってあげようと同じメロディを口ずさんでいることに気がついた。
特徴的なうねりのあるイカロスが、自然と口から飛び出てくる。

すぐに気恥ずかしくなってやめてしまったが、自分の意志とは無関係に動く自己の反応を、他者の視点から不思議な思いで傍観していた。

 

イカロスが激しくなってゆき、鼻歌からちゃんとした歌詞が乗っかるようになった。

頭が朦朧(もうろう)としてきて、理由もなくものすごく楽しい気分になってきた。

枕元にあったバケツにちょっと手がぶつかっただけで一人爆笑。

なんだこりゃ。
”箸が転がっても笑う状態”ってこんな気分なのだろうか。
訳がわかんないけど、なんかめっちゃ楽しい。

 

シャーマンが楽器を持ち出し、ギターやハーモニカ、パンフルートなどを演奏し始め、セレモニーは最高潮。

まわりでは立ち上がって一緒にイカロスを歌っている人、膝立ちでヘッドバンギング(首を激しく上下に振ること)をしながら手を叩いている人など、まるでお祭り騒ぎ。

自分の場合は、仰向けに寝ながら手が勝手に天井へと伸び、開いたり閉じたりを繰り返していた。
その動きを不可思議にただ見つめる。
そのうち、パラパラや盆踊りのように手だけで踊り出した。

体も動き出し、腰が動いて肩がゆれて、思いきり伸びをしたところで足がつって一瞬我に返る。

頭のなかでは、誰かが自分を褒めたり注意したりを繰り返し、そのたびに情緒は激しく上下していた。

 

段々と気持ちが高揚し、これ以上ないほど はしゃいだ気持ちになっていた。

これほど楽しい気分は人生で何度かしか経験したことないってほど、ワクワクして嬉しくて楽しい。
最高に幸せだった。

 

まわりの人たちが気にかかり、なんだか優しい気持ちになる。
精神の部分でここにいるみんなと繋がっている気になった。

部屋の上から全員を心配して見下ろすイメージが浮かぶ。

「さっきから動かないあの人は大丈夫だろうか」
「シャーマンはちょっと疲れているような気がする」

イメージの中で、それぞれに声をかけていった。

各自の踊りや手拍子や歌が、みんなシャーマンを支えているように感じた。

 

ちなみにイカロスはこんな感じの歌↓

4、休憩と終焉

突然歌が終わり、

「ちょっと休憩しよう」

と、それまで気が狂ったように歌っていたシャーマンが平然と言う。

するとそれまでの騒ぎが嘘のようにみんなピタッと素に戻り、普通に会話ができる状態になった。

頭はまだフワフワしている。
アヤワスカのリズムが忘れられず、時々体が動いたりメロディが勝手に口から出たりしているが、体の自由は利くし人からの応答も成立させられる。

 

「もう一杯飲むか?」

シャーマンに数回問われたが、断ってしまった。
なんだか怖かったのだ。

きっと飲むべきだったのだろう。
従っておけばよかったと今でも後悔している。

 

あまりにも楽しかったので、シャーマンにもう一曲リクエスト。

「もちろん、もっとやるよ」

の声がうれしかった。

 

その後歌が始まると、さっきと同じようにイカロスの調べに合わせて体が動く動く。
しかしそのとき、頭の中で「すべては勘違い」という言葉が聞こえ、この体験は全部勘違いなんじゃないかと思って白けてしまった。

まわりも落ち着いてきたようだ。
さっきまでの熱は感じられない。

アヤワスカの効果が切れたのか、このあたりでセレモニーは終了。
シャーマンは自室へ引き下がってしまった。
終わった時、すごくさみしかったのを覚えている。

 

他の日本人たちと何が見えたか話をしながらいつの間にか寝ていて、気がつくと朝になっていた。

まだ早朝。
鳥が鳴き、庭に光が降りそそぎ、自然が生き生きとして気持ちがよかった。

 

シャーマンはすでに起きていて、

「きみはなにを悩んでいるのかわからない」

と言われた。
それに対し、

「なにかすごく悩んでいる気がしたけど、アヤワスカのなかでは悩みはなにもなかった」

と答えると、

「じゃ、いいじゃん」

あっけらかんと言い放った。
そして、ニヤッとした独特の笑みを浮かべて

「今日は俺が昼食を作ってやるよ。俺ぁシェフだから」

と庭で陽気にステップを踏む。

 

そんな適当でちょっとぶっ飛んだ彼の、さらに適当な言葉を聞いて、

――ああ、なんにも悩まなくていいんだな

と、思ったのだ。

 

まとめ

以下、持ち物やルールなど、アヤワスカ体験に関する内容を簡潔にまとめました。

 

あったほうがいい持ち物

  • 上着
    バス内で使用。4000m越えの高地は寒いです。
  • 懐中電灯 〇
    夜出歩いたりトイレに行くときに必要。
  • タオル 〇
    ジャングルは暑いので汗を大量にかきます。
  • トイレットペーパー 〇
    トイレに紙がないこともよくあります。
  • 蚊取り線香とライター
    虫が多いので部屋で使います。一応蚊帳はついてますが、あったほうが安心です。
  • 虫よけスプレー
    外を歩くときに。
  • 日焼け止めクリーム
    日差しが強力。一日で酷い日焼けになって痛み出しますので、男性も塗っておきましょう。
  • 帽子
    熱射病対策。
  • 長袖シャツと長ズボン
    こちらも日差しよけと、虫よけにも効果あり。
  • 水 〇
    暑いのでいっぱい飲むことになります。
  • フルーツやお菓子など軽食
    少数ですが村にも店や食堂はあるので、そこまで大量に用意する必要はないです。
  • 暇つぶし用のもの(楽器、本、ゲームなど)
    とにかく暇なので。
  • デイパック
    大きな荷物だと暑さとジメジメで体力を削られます。できれば荷物は小さくまとめましょう。
  • シークレットポーチ
    スリ対策や、貴重品の紛失を防ぐのに便利です。
  • 現金とパスポート
    無いと無理。

 

(〇 はセレモニーにも持ち込んだ方がいいもの。)

 

アヤワスカ概要

シャーマンを見つけセレモニーを頼みます。
シャーマンが出かけてしまったりお休みする日もあるので確認しましょう。

当日は昼以降なにも食べてはいけません。
これによりアヤワスカの効能を上げ、また吐くものを少なくすることで序盤の気持ち悪さが楽になるそうです。

セレモニーは夜にやります。
人やそのときの雰囲気によって夜通しやることもあります。

途中吐き気がしたりトイレに行きたくなったりします。
そういうときは我慢せずに出してしまった方がいいです。
「体から悪いものを出し浄化する」こともアヤワスカの効果らしいので。

こだわる方は肉や魚、調味料、香辛料などを抜く食事制限をするのですが、一般人はやらなくてもいいと思います。

計3回受けることを推奨されています。
1回だけではそこまでの効果は期待できないとのことです。

アヤワスカは危険なこともあるみたいなので、
正直そんなにオススメはしません!

 

考察

 

ここから、アヤワスカを体験した感想です。

 

実際に模様や映像などの”ヴィジョン”が見えたり意識とは無関係に体が動いたり脳が働いたり、事前に聞いていた通りのことが起こりました。
幻聴がひびくというよりは、覚醒しながら夢を見ているという感覚でした。

ただ、その内容の多くは普段いつも考えていることが大半でした。
やはりこれは宇宙や神みたいな外の力の影響ではなく、自分自身から出てきているものなんだということがわかりました。

 

つまり、お告げを受けたり未来が見えたりするものではなく、自我を失うことで

自分は本来どうしたいのか、
どのように生きたいのか、
それはどうしてか、

といったことを見つめなおせるようになっています。

また、気分がものすごくハイになるので、精神の病を緩和できるという話も うなずけました。

 

今回は1回しかセレモニーを受けなかったのですが、本当は3回受けることが推奨されています。
でないと麻薬のようなトリップ体験のみにとどまってしまうようなんですね。

シャーマンたちが言うには、「1回目でアヤワスカを知り、2回目でアヤワスカと仲良くなり、3回目でアヤワスカを操る」のだそうです。

1度だけではヴィジョンすら見れない人もいるらしく、
実際、一緒にアヤワスカを受けた日本人男性は、この夜は気持ち悪いだけで終わったと言っていました。

 

もしちゃんと3回受けていたら、もしくはあのときアヤワスカのおかわりをしていたら、もっと深くなにかを掴めたのかもしれません。

もう一度機会があれば、ぜひまた受けてみたいです。

 

 

この体験がもしも、ただ単に自分の人生の考え方を目にしただけだったとすると、
ここで言われたことはただ自己を肯定しているだけであり、新しく客観的に得られたものではありません。

今まで「そうだ」と思っていたことを、もう一度再確認しただけです。
自分の能力が上がったわけではなく、自己肯定感を得ただけ。

なのであとで振り返ってみると、この声を真に受けるのはどうなのだろうかと思いました。

 

ただ、もしそれだけではなかったとしたら。
神がかり的ななにかが含まれていたのだとしたら。

 

自分の場合は、

「今までの生き方がすべて正しい」
「悩みなんて本当は何もない」

と言われました。

これらに関しては、普段の自分では考え得なかった内容です。

他にもいろいろ得られるものがあったのですが、それを信じるべきかどうか。
自分にはわかりません。

 

ただ、いつも陽気に歌ったり踊ったりしていたあのシャーマン。
彼が発する掴みどころのない言動はなかなかおもしろかったです。

あんなに心の読めない人は珍しい。
ああいうタイプの人はいつもどんなことを考えているのか、何によってあの雰囲気を作り出せているのか。

これは、これからの人生でちょっと面白い議題になりそうです。

 

おしまい。

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孤高の非日常体験チャリダートリップラー「ReiCoen」

孤高の非日常体験チャリダートリップラー「ReiCoen」

小さなころから引っ込み思案で人付き合いが苦手。 幼稚園時代から、自分はまわりの子よりも言葉での自己表現ができないことを自覚し始める。コミュニケーションがうまく取れないことに危機感を覚え、言葉について、気持ちの伝え方についてを模索し練習する。⇒プロフィールの詳細はこちら

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