ひょんなことから日本料理店を開業することになり、2017年5月、アルバニアの田舎町シュコドラで初めてとなる日本料理店「Sushi te Shoki」をオープン。地元アルバニア人を相手に日々奮闘している。ちなみにまだ世界一周の途中。
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せーの!ホップ!ステップ!トリップ!ラー!!
まいど!世界に日本料理を伝える海外シェフトリップラーのshokiです!
みなさん、旅をしていると色んな人に出会いますよね?特に海外だと、日本人が珍しかったり、日本のファンだからという理由で、よく現地人から話しかけられます。
正直、そんな現地人との出会いは、時にはトラブルに発展するケースもあり、必ずしも良いことばかりではありませんが、だからといってハナから相手にしないというのも、もったいないかもしれません。
そう、僕みたいに現地で俳優デビューしてしまうこともあるから・・・。
(※ちなみに、僕が日本料理店を開業したのはアルバニア。今回の舞台はアルメニア。間違えやすいけど全然違う国ですのでご注意を!)
この記事の目次
スカウト
ここでスカウトされました
トルコの東隣に位置するアルメニアという国を旅していた時のことです。
アルメニアと言えば・・・世界で初めてのキリスト教国家、美女率世界No.1!?、ザリガニ食べ放題など、マイナーではありますが調べてみるとなかなか面白い!そんな国です!
この日、首都のエレバンをひとりで散歩していると、現地人の男性3人組に声をかけられました。
はい、来た。写真ね、はいはい。
「どこから来たの?」「一緒に写真を撮ってくれないか?」
こんな風に声をかけられることは、自慢じゃないけどよくあるんです。
ただ、今回ばかりはそうじゃなかったみたいで・・・。
彼らはすごく低姿勢で、なぜかウサギを持ち歩いていたことから、なんとなく印象が良かったんです。
こんばんは!突然すみません。僕たちは映像制作会社の社員で、現在製作中の映像に必要な俳優を探しているんです!
は、はぁ。(いきなりどうした!?)
そこで、ちょうど探している役にあなたがぴったりなんです!是非協力していただけないでしょうか?
えぇ!?何の役なの?(学生の文化祭って歳でもなさそうだし、これってまじのやつ・・・?)
モンゴル帝国は知っているでしょう?その皇帝の役なんですけど・・・。
ま、まじ!?(まさかのモンゴル人かーい!)でも僕、日本人だよ!
似てるんで大丈夫です!
ええええぇー、いいのかなぁー?
もし了承してもらえるなら、後日僕たちの事務所で詳しい話をさせていただけないでしょうか?
わ、わかった!(どう考えても怪しいよね?宿に帰ったら冷静に考えよう!)
その場で彼らとフェイスブックで繋がり、連絡を取り合うことになりました。
その内の一人のプロフィールを見てみると「職業:映画監督」とある。
うーーーむ。新手の詐欺にしては、手が込み過ぎている気はするなぁ。
確かに以前から僕は、アルメニアやその周辺の国々を歩いていると、「チンギスハーン!」と声を投げ掛けられることがしばしばありました。
そうか、僕はこの辺りの人から見ると、モンゴル人顔なのか。そんな程度に思っていた、だけだったのに・・・。
映像製作の事務所にて
後日、僕は彼らに呼び出された事務所に来ていました。
エレバン市内の雑居ビルの一室でしたが、ちゃんと表に看板も出ていたので、中に入ってみることにしました。そこには、アップルのパソコンが何台も設置されていて、10人ほどのスタッフが、PC作業や、メイク・衣装・小道具などのチェックをしているところでした。
僕は奥のほうのパソコンの前に案内され、コーヒーが運ばれてきました。
(※ちなみに、睡眠薬強盗などの可能性をまだ完全に消し去った訳ではなかったので、すぐには口をつけませんでした。同じ宿に滞在中の他の旅人には、正確な行き先を伝えていたし、金銭もほぼ持ってきていません。スリランカでのこともあったし、かなり用心深かった時期ですね)
まず、彼らに代わって英語が堪能な女性が、僕の役柄と、その歴史的背景を説明してくれました。また、彼女の話では、出来上がった作品は、映画館で上映されるような映画ではなく、海外のテレビ局や、メディアに売る用のサンプル的な映像であること、セリフは無く、メイクや衣装を着て、動作のみの演技であることも説明してくれました。
この点に関しては、正直残念ではありましたが、とりあえずやってみようと思いました。
その後は、作品の完成イメージに近いという映像を見せてくれ、話はかなり具体的に。
だんだん後に引けなくなってきました。
連絡が常に取れるようにと、その場でアルメニアのSIMカードも買ってきてくれ、交通費と少しの出演料は支給されると伝えてくれました!
これは好待遇!僕としてはこんな貴重な経験、買ってでもやりたかったですから!
ちなみに馬に乗ったことは?
いやー、ロバならあるけど。
じゃ大丈夫だね!
本当に・・・?
作品の歴史的背景と役柄
(出典 http://dailynewsagency.com/2014/02/05/most-lethal-warriors-ever-sent-mn7/)
時は13世紀、キリキア・アルメニア王国(現在のトルコ南岸部の辺りにおいて、11~12世紀頃アルメニア人によって建国された王国)と、ビザンツ帝国(東ローマ帝国ともいう)との間に、戦争が勃発していました。
また時を同じくして、史上最大の国家「モンゴル帝国」は、次々と侵略を進めて領土拡大の真っ最中でした。
そんな折に登場するのが・・・モンゴル帝国の初代皇帝チンギス・ハン!ではなく、その孫で第4皇帝のモンケ・ハン!!その卓越した指導力により、当時大きくなり過ぎて分裂傾向にあったモンゴル帝国を、再度統率することに成功した凄腕の人物と言われています。
このモンケ・ハンという人物が、今回の僕の役どころになります。
すごいでしょ?(笑)単純に当時の世界でトップの人物ですよ!!
撮影当日
メイクは大丈夫!?
まだ電車も走り始めていない早朝の事務所まで、タクシーで集まった撮影クルー達。今日の撮影は長くなるらしい。
総勢20名以上のスタッフと演者が、数台のワゴン車に別れて撮影現場まで移動します。
ようやく日が昇ってきたころ、この日のロケ地に到着!
少し肌寒いなーと、肩を縮めていると、ひたすら続く平原の向こう側から、一頭の馬が走ってきました!
しょうき!あれが今日君が乗る馬だよ!
うぉぉぉお!!
じゃあ、早速メイクに入るから、そこに座ってもらっていい?
は、はい!
1時間半後・・・
だ、誰や!?
正解なのか不正解なのか、わからん!
(※髭は僕の自前ですが、繋がり眉毛はメイクです。)
まぁ写真とか無い時代ですからね。彼らのイメージに任せましょう(笑)
ちなみにこれはネットに上がっているモンケ・ハンの肖像画。眉毛どう見ても繋がってないけどなー・・・。
馬にまたがりNG連発
さて、メイクが終われば早速撮影に入ります!
先ほど走ってきたレンタル馬にまたがり、僕の俳優デビュー最初のシーンです!
じゃあまず、馬にまたがったままの状態で、遠くの土地を眺めてくれ!
このシーンは、『モンケ・ハンが、これから支配しようとしている土地を遠くから眺めている』というシーン。
セリフが無いので、表情と動作のみの演技になります。
背筋をしっかりと伸ばして、胸を張り、遠くを眺めます。
僕から見て左側からだんだん右側に視線をスライドしていくイメージなのですが、これがなかなか上手くいかず・・・。
俺が動くから、俺を見ながら視線を動かしてくれるか?
着慣れない防具などの衣装で、更に馬にまたがっている状態なので、動きがどうしてもぎこちなくなってしまうのですが、なんとか数回目でOKを頂きました!
続いてのシーンは、さっきと似ているのですが、今度は『馬を5mほど前進させながら、前方に見える土地を睨みつける』というシーンです。
うーん、違うな。もっと勇猛な感じで!
もうちょっと遠くを見ようか!
もっと顎を引いて!
背筋を伸ばして!!
馬をもっとこっちまで動かして!
このシーンで僕は、熱血系の監督に若干イライラされながら、なんとNGを20回くらい連発してしまいます。
猛暑の中、かなり厚着をしているので、帽子の隙間から流れ出てくる汗を、途中でメイクさんが何度も拭きに来てくれ、励ましてくれます。
最終的には、なんとかOKを頂きました!
ふ、ふぅ~。
他の役者さん達の迫真の演技!
この日の撮影では、僕以外の演者は全員、キリキア・アルメニア王国かビザンツ帝国の兵士役でした。(モンケ・ハン率いるモンゴル帝国軍の兵士は、同じ人が着替えて後姿のみ撮影)
兵士たちの陸上戦はとても迫力があり、その動きを追うカメラワークも凄かったです!
例えば『1対1の戦いが、同時に3箇所で行われている』というシーンの撮影のときは、カメラワークと、戦いの順序の確認を何度も入念に行われていました。
『5対5で向かい合い、互いに走りながら衝突する』シーンも、みんな声を荒げ、臨場感が伝わってきました。
早朝集まったメンバーも、この日は暗くなるまで撮影に明け暮れたそうです。
僕は夕方に車で送ってもらい、お先に失礼しました!
某レストランを貸切り
数日後、再び撮影があるとのことで、僕はエレバン市内の共和国広場に呼び出されました。
そこへ待ち合わせ時間ぴったりに現れた、僕をスカウトしてくれたスタッフさんに案内されやってきたのは、なんとレストラン!
今日はこのレストランを一時貸切にして、撮影が行われるみたいです。
僕が着いた頃にはすでに撮影は始まっていて、現場の慌ただしさが伝わってきました。
しばらくその様子を見学させていただいたあとで、みんなで別のレストランへ移動して、今度は僕の出番です!
早速メイクさんにメイクが施され・・・
なんか前回より更に変な方向に向かってないか?
今日は、『王座に君臨するモンケ・ハンの元に、近隣国からの遣いが和解を申し出に訪問する』シーン。
僕は、この装飾が凄い空間であぐらをかいていて、そこに現れる老兵の目を見て、深くうなずく、という演技をします。
ちょっとタイミングが早過ぎるなー。
もっとゆっくりとうなずくんだ!
もっと堂々としろ!
君は全世界の、この地球上で最も偉いんだぞ!
この日も何度かNGを出してしまいましたが、これでなんとか僕はクランクアップ!!(←言ってみたかった~)
無事に役目を終えることができて本当によかった!みなさんお世話になりました!!
予告編が公開されています
この記事を書くことになってから、当時僕をスカウトしてくれた方に連絡を取ったのですが、映像はまだ製作途中だそうです。完成作品が見られるのはいつの日になるのかはまだわかりませんが、楽しみに待ちたいと思います。
ただ、撮影はもう終了していて、今は編集段階だそうで、予告編のURLを教えてくれました!(残念ながら僕は写っておりません)
CILICIA. Lion’s Land《予告編》
(※ちなみに著作権的な話ですが、僕が日本人に向けて発信するブログなどに関しては、写真を公開しても問題ないとのことでした)
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ひょんなことから日本料理店を開業することになり、2017年5月、アルバニアの田舎町シュコドラで初めてとなる日本料理店「Sushi te Shoki」をオープン。地元アルバニア人を相手に日々奮闘している。ちなみにまだ世界一周の途中。
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コメント
素晴らしい 経験をしたと 思います、羨ましいです、私も そんな経験をしてみたいものです
倉茂順教さん
コメントありがとうございます!
えぇ、本当にラッキーでした。生きていると何が起こるかわかりませんね(^^)