“あんずの里”として有名な長野県の千曲市生まれ。秘境や辺境に惹かれ、女一人バックパック一つでマイナー国を渡り歩いている。心の故郷は、パキスタンとアフガニスタン。主にイスラム圏に生きる民族の暮らしや文化に触れることをテーマとし各地をまわり、現地の人々と交流型の旅を続けています。自身の旅行記をまとめたサイトを運営、写真と文章でパキスタンやイスラム圏の魅力を発信中。
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初めまして、“パキスタンマニア!秘境・辺境を旅するTRIPLER”のユキザハラです。
私はどういうわけかパキスタンという国が大好きで、これまで3度訪問し、それぞれ1〜2ヶ月ほど滞在してさまざまな場所を巡ってきました。
パキスタンのことを語り始めたらきりがありませんが、今回は私が初めてパキスタンを訪れるきっかけとなった「フンザ」という場所についてお話ししたいと思います。
国内外から多くの観光客が訪れるフンザは旅人の間ではわりと有名で、「風の谷のナウシカのモデルになった」とも噂される場所なのです。
今回は、そんなパキスタンのフンザへの「行き方」と「注意点」をメインにご紹介したいと思います。
この記事の目次
パキスタンとフンザの基本情報。
パキスタンってどんな国?どこにあるの?
パキスタンは南アジアに位置し、日本の約二倍の面積と人口を持つ国です。
東はインド、北東は中国、北西はアフガニスタン、西はイランと国境を接しています。
実に国民の97%がイスラム教を信仰している、イスラム教国家。
公用語はお隣インドのヒンディー語とよく似た「ウルドゥー語」になります。
フンザはパキスタン北部の山岳地帯にある
フンザは、パキスタンの首都イスラマバードから北へ約700kmの場所にあります。
標高2400m付近の高地に位置し、7000m級の山々が連なるカラコルム山脈の雄大な山々を目前に拝むことができます。
春になると谷全体がピンク色の杏の花で埋め尽くされることから「桃源郷」とも呼ばれています。
フンザの現地語は「ブルシャスキー語」ですが、観光地であるため英語の通用度も高いです。
イスラム教の中でも戒律があまり厳しくないイスマイリー派の人々が多く暮らしています。
「風の谷のナウシカ」のモデルになったって本当?
出典:https://www.amazon.co.jp/
旅人の間で、ジブリ映画の名作「風の谷のナウシカ」の「風の谷」のモデルになった場所と噂されているフンザですが、実際のところは、ジブリ側が正式に発表している訳ではありません。作者の宮崎駿氏は「(風の谷のイメージは)中央アジアの乾燥地帯なんです」と雑誌の対談で明言しています。ただ、パキスタン北部も広義の概念的には中央アジアに含まれ、乾燥地帯であることから、この発言に当てはめることもできると個人的には考えています。
実際に、フンザはナウシカの風の谷のように美しく牧歌的な風景が広がる谷で、そこに暮らす人々の民族衣裳も映画の登場人物に近いものを感じますし、建物もどことなく似ています。
フンザへはどうやって行くの?
パキスタンへの主な行き方、アクセス方法。
日本から空路でパキスタンへ
パキスタン航空の北京経由便が週に2便(月・金曜日)、東京から運行しています。
【成田→イスラマバード】※2018年10月現在
・所要時間:10時間20分(14:25発→20:45着)
・料金:片道→67210JPY〜 / 往復→86420JPY
※北京にて1時間10分の待機時間あり
パキスタン航空公式ホームページ<英語サイト>からネット予約・購入が可能。
パキスタン航空日本支社に直接電話して購入することも可能です。
電話番号:03-3216-6511
パキスタン航空だと移動時間は10時間20分となっていますが、こちらは遅延の多い便なので時間通りに到着しないことも多いです。数時間の遅れは念のため計算に入れておいた方がいいでしょう。
周辺国から陸路でパキスタンへ
パキスタンへは、現在周辺国からも以下の経路で入国が可能です。
・インドのアムリトサルを経由しワガ国境から
・中国のタシュクルガンを経由しクンジュラブ峠を越える
・イランのミールジャーベからパキスタンのタフタンへ抜ける
実際にこのルートでパキスタンに入国する欧州人には何人か出会いましたが、治安の安定しないバロチスタン州を移動する関係上このルートはおすすめはできません。
フンザへの主な行き方、アクセス方法。
フンザへは、主に以下3通りのアクセス方法があります。
(1)首都イスラマバードから空路で
イスラマバードから、パキスタン北部の都市であるギルギットへ毎日運行しています。
【イスラマバード→ギルギット】※2018年10月現在
・出発時間:6:30、7:00、10:30、11:00
・所用:1時間15分
・料金:12110PKR(1PKR≒0.9JPY)
※国際線でイスラマバードに到着、翌日に国内線が控えている場合、無料でイスラマバード内のホテルを手配してもらうことができます。空港内にあるPIA(パキスタン航空)カウンターで問い合わせしてみてください。
※運行は毎日4便あるわけではなく、日によってまちまちなので公式HPで確認してください。
パキスタン航空公式ホームページ<英語サイト>
ギルギットからフンザ谷の入り口となるアーリアバードや、宿や飲食店・土産物屋が集まるカリマバードへは、ジェネラルバススタンドや街の中心近くにあるバス停から乗合バスに乗って2〜4時間半程度。利用するバス会社や、休憩の有無や長さによって所用時間は変わります。料金は250PKR程度。
タクシーでの移動も可能です。タクシー利用の場合、乗客の乗り降りや休憩の時間もカットできるので、バスよりも早く辿り着くことができます。
(2)ラーワルピンディーから陸路で
※ラーワルピンディーは、イスラマバードに隣接する地区のこと。
カラコルムハイウエイ(KKH)を陸路で北上するこのコースが、おそらく旅人の間で一番メジャーなアクセス方法ではないかと思います。
バス会社はいくつかあるのですが、国営のNATCO大型バス・民営のSILK ROUTE大型バス・その他乗合ミニバスが主なバスになります。中でも多くの外国人バックパッカーが利用しているのは、パキスタン国営のNATCOというバス会社になります。
【フンザ直通】
ラーワルピンディ最大のバススタンドである「ピールワダイ」発、フンザの入り口となるアーリアバードまで直行が可能です。
・出発時間:17:00
・所用時間:18時間〜
・料金:2130PKY
【ギルギット行き】
・出発時間:19:05、20:00、21:00
・所要時間:16時間〜
・料金:19:05発便→1600PKR / 20:00発便→1850PKR / 21:00発便→2300PKR
※待合スペース付きのオフィスもピールワダイにあります。事前予約なしでも可能ですが、席が埋まってしまう可能性もあるので事前にオフィスで予約をしておいた方が安心です。
※所要時間は、道路事情によっては大幅に遅れる場合もあります。
※途中、ご飯休憩などが複数あります。
※キャンセルや時間変更の可能性もあるので、詳細は公式HPや現地で直接確認してください。
NATCO公式ホームページ<英語サイト>
パキスタンでは移動中、多くのチェックポストを目にします。
チェックポストごとに対応の仕方は異なりますが、外国人はパスポート・ビザのコピーが求められたり、台帳へ情報を記入したり、滞在目的を聞かれることが多いです。
ラーワルピンディーとフンザを結ぶカラコルムハイウエイでも、多数のチェックポストが存在します。
この区間ではパスポートとビザのコピー提出を求められます。そこで外国人は、パスポートとビザのコピー10枚分(チェックポスト分)をあらかじめバスのドライバーに渡すようになっています。コピー屋さんはパキスタンでも至る場所にあるので、あらかじめ用意しておくようにしましょう。
(3)中国側からクンジュラブ峠を越えて
中国西部、新疆ウイグル自治区に位置する国境の街タシュクルガンから、パキスタンの国境の町スストまで、乗り合いのバスが運行しています。
タシュクルガンへは、カシュガルからシェアタクシーで移動可能。相場は120元。私はこの経路で行ったことはないので、以下はパキスタンの友人や旅人から聞いた情報です。
・出発時間:お昼過ぎ頃
・所要時間:6〜7時間
・料金:225元(移動途中で国立公園入場料を支払う)
※冬の間は雪が深くなるクンジュラブ峠(標高4700m)ですが、現在は道路が整備されたこともあり、4月頭頃から11月末頃までの期間は開かれています。(積雪状況により前後します)
※土日祝日は国境が閉まります。
※チケットは町の北側にある交通賓館の横のバスターミナルで当日のみ購入可。10時頃販売開始。
11時頃にカスタムに来るように言われ、お昼過ぎに出発という流れ。
スストからカリマバードまでは乗り合いバスで2時間、250PKRほどで行くことができます。
ギルギット・バルティスタン州を旅行する外国人には、Foreigners registration cardというものが発行されます。
⑴の空路で行く場合はギルギットの空港で、⑵のラーワルピンディから行く場合はギルギット・バルティスタン州に入ってから最初にあるチェックポストで、⑶のタシュクルガンから行く場合は途中のチェックポイントで。
係員がパスポートやビザを見てカードに記入し、手渡されます。
ギルギット・バルティスタン州を出る際にはこのカードをチェックポストで返却しなければならないので、州を出るまでは無くしたり捨ててしまわないように気をつけましょう。
いよいよ憧れの風の谷・フンザに到着
長い長い移動を経て、美しい風の谷・フンザに到着。フンザに入ると、風が変わるのを感じます。
フンザの中心地であるカリマバードはのどかな村ですが、観光客が集まる春や夏のシーズンは賑わいます。
宿や飲食店、土産物屋が立ち並び、美味しいドライフルーツや新鮮なフルーツを食べることもできます。
郵便局、診療所、日用品や食品の売店などもあるので、それほど生活に困ることもありません。
のんびりと美しい山々や自然を眺めて滞在するもよし、近隣の山へトレッキングへ出かけるも良し。
フンザをお散歩していると、地元の人々がフレンドリーに声をかけてくれたりチャイをご馳走してもらうことも少なくありません。
パキスタンのフンザに行く際の注意点は?
日本でパキスタンビザを取得する
これがないと始まりません。
現在のところ、パキスタンビザは原則第三国での取得はできなくなっています。
日本人は、日本の大使館でビザを取得する必要があります。郵送での取得も可能。
厄介そうに思えるパキスタンビザですが、案外簡単に取れる上に申請料はなんと100円。
ただ有効期間は発行から3ヶ月間であり、発行されてから3ヶ月以内に入国・出国までしなければならないので注意してください。
詳しくはパキスタン大使館ホームページから。
事前に治安情報をよくチェックする
フンザはパキスタン国内の中でも治安は安定している方ですし、女性一人で歩いていても問題ないくらいのどかで平和な場所です。
ですが、フンザとはいえどもパキスタン。現在パキスタンの治安は改善傾向にはあるものの、テロなどが時折起きる地域があることも事実です。
特にカラコルムハイウエイでは、過去には武装集団によるバス襲撃事件も発生しているので、最新の治安状況を十分にチェックした上で渡航しましょう。
外務省 海外安全ホームページ
防寒対策を忘れずに
パキスタン北部のフンザは標高が高い場所にあるため、防寒対策は万全にして行った方がいいです。
フンザには四季があります。気候は、日本の寒冷地をイメージしていれば良いかと思います。私は長野県出身なのですが、地元と比較してみても年間通して気候はよく似ていると感じます。秋〜春は冷えます。夏でも夜は長袖を着ないと寒いです。暖房器具もよほどいいホテルに泊まらない限りは期待できません。ヒートテックやダウンを持っていくことをお勧めします。
高山病が心配な人は対策を
トレッキングを予定している人や、クンジュラブ峠越えを考えている人は高山病対策をして行った方が安心です。ちなみに高山病予防薬はフンザでは薬局でかなり安く手に入れることができます。
文化の違いに配慮した服装を
パキスタンはイスラム教国。フンザはイスラムの中でも寛容な地とは言え、Tシャツにハーフパンツなどという軽装はあまりよくありません。男性はTシャツにジーンズでも問題ありませんが、女性は肌が隠れて体のラインが出にくい長袖長ズボンでいる方がいいでしょう。フンザは観光地なので、地元の人は外国人女性慣れしている人も多いです。女性の場合、男性からしつこく声をかけられることも少なくありません。肌を極端に露出している女性は、現地の男性に「狙ってください」と言っているようなものです。どれだけ現地の文化に配慮できた服装をしているかどうかでも、現地の人の接し方は変わってきます。
自分の身を守るためにも、服装には十分配慮しましょう。
公共の場での飲酒は控える
イスラム教国なので公共の場所での飲酒は原則控えた方が無難でしょう。
ただ、フンザではフンザワインなるものの入手は可能です。
女性の写真撮影には注意
イスラム教徒の女性の中には、写真を撮られることを嫌がる人もいます。
フンザは他の地域に比べて少ないですが、それでも無理やり撮ることはやめましょう。
フンザに持っていきたいもの、いらないもの
持っていきたいもの
特に重要だと思われるものは赤字で記載しています。
バックパック
コロコロ式のスーツケースはおすすめできません。
(ツアー参加等で自力移動がない人はスーツケースでもokです)
フンザは坂道が多く舗装されていない道も多いのでコロコロは疲れます。
トイレットペーパー
パキスタン式のトイレには、基本的にトイレットペーパーは備え付けてありません。
その代わりに、どこに行ってもシャワーや水桶が置いてあります。
パキスタンの人たちは用を足した後は水で洗い流すのですが、それに抵抗のある人はトイレットペーパーを持参しましょう。
ヘッドライト
最重要持ち物の一つ!フンザでは、停電は日常茶飯事。
街灯も少ないので夜暗くなってから外を歩く場合もライトがあった方が安心です。
寝袋
トレッキングする人は必要になります。(レンタルも可能です)
フンザは標高が高い場所にある上に、暖房器具が整った宿も限られい流ので思っている以上に寒いです。
秋〜春先にフンザに行く人は念のため寝袋を持って行くと安心。夜も凍えることなく眠れます。
それ以外の季節はなくても困りませんが、夜はそれなりに冷えると思っていてください。
ストール
イスラム仕様に。女性は必須。砂埃がひどい時は顔を覆うのにも使える。
予備バッテリー
停電が日常的に起きるので、予備のバッテリーはあると便利です。
トレッキングシューズ
歩きやすい靴であればなんでも構いません。
夏場でもクロックスやサンダル等はおすすめできません。
砂埃がすごいのであっという間に足が真っ黒になる上に、乾燥しているのでかかとの皮がひび割れてきます。
日焼け止め
標高が高いので日差しがかなり強く、数時間日光を浴びただけでも肌へのダメージが強いです。
これも最重要持ち物の一つ!
保湿クリーム
乾燥しているので、保湿グッズはできれば持ってきたいもの。唇もガサガサになるのでリップクリームもあった方が良いでしょう。
サングラス
強い紫外線から目を守ります。なくてもいいですが、あれば便利。
トラベル用ドライヤー
髪が長い人はあれば便利かと。夏場以外は寒いので、いつまでも髪の毛を濡れたままにしておくと風邪をひきかねません。
レインコート
山岳地帯なので天気は変わりやすいです。急な雨に備えて持っていた方がいいです。
いらないもの
洗濯用バケツ
どこの宿にもだいたい洗面所に大きなバケツが置いてあります。
薬類
日常的に飲んでいる薬があるなら別ですが、予備の風邪薬や胃腸薬などは現地で安く購入できます。
フンザまでの行き方まとめ
以上、フンザまでの行き方と注意点をメインに紹介させていただきました。
行き方を簡単にまとめると・・・!
パキスタンへ行く方法
⑴日本から飛行機で
⑵インドのアムリトサルを経由しワガ国境から
⑶中国のタシュクルガンを経由しクンジュラブ峠を越えて
⑷イランのミールジャーベからパキスタンのタフタンへ抜けるnbsp;
フンザへ行く方法
⑴首都イスラマバードから空路で
⑵ラーワルピンディーから陸路で
⑶中国側からクンジュラブ峠を越えて
時間とお金に余裕があるのなら、やはりオススメは飛行機です。圧倒的に楽です。
ラーワルピンディーから行く場合は20時間近い長距離移動となり、道も快適ではないのでそれなりにハード。クンジュラブ峠経由の場合も、時間はまだ短いですが標高5000m近い峠を越えることになるので楽ではありません。
ですが、苦労してたどり着いた先には、素晴らしい景色と感動が待っています。
ぜひ、「地球に残された最後の桃源郷」と詠われるフンザの風をご自身の肌で感じてみてください。
アクセス方法に関しては変更も有り得るので、この記事を参考にしつつも、基本は現地で情報収集していただければと思います。
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