いつもひとりで、オランダやイギリスなどヨーロッパの国々を旅しています。美術館巡りが大好きです。国内では、大好きなアーティスト・超特急を追いかける旅を展開中。⇒プロフィールの詳細はこちら
街の雰囲気と美術館に入り浸るのが、私らしい過ごし方。
みなさん、はじめまして!ヨーロッパとアートをこよなく愛するカジヤマシオリです。
大学時代、17世紀のオランダで活躍していた「フェルメール」という画家に魅せられ、論文を書きました。西洋美術好きが高じて学芸員資格も取得しました。
とにかく芸術と過ごす時間が大好きで、ヨーロッパで美術館やアートスポットをふらふらしているときが幸せです。
なぜ日本よりも、ヨーロッパで好きな作品と過ごす時間に幸せを見つけたのか。
その理由のひとつに、作品だけでなく、その作品がある場所も魅力的であることが多いことが挙げられます。
かつて宮殿だったり、お城だったりした建物を美術館として使っているケースも珍しくありません。
2017年3月に訪れたオランダでも、作品と過ごす時間が楽しくなるような美術館を見つけることができました。
独自のアート文化が発展しているオランダで、展示作品について詳しくなくとも雰囲気を楽しめるような、建物・内装のすばらしい美術館を紹介します。
この記事の目次
《その1》アムステルダム国立美術館
オランダの首都・アムステルダムで最も人気があるといえる美術館がこちらです。
「アムステルダム国立美術館」は、主に17世紀以降のオランダの美術品を展示しています。
江戸時代、日本と交易していた数少ない国の一つだっただけあって、当時の日本を描いた作品や出島の模型なども展示されているのも興味深い点のひとつ。
展示物の数はなんと約8000点!
その膨大なコレクションが集まる建物は、ただ大きいだけではありません。
アムステルダム中央駅と似ている?その関係とは
画像の後方に構える、大きな建物。れんが色の見た目と、中心付近にある2つの塔。
アムステルダム国立美術館と比べてみると、ちょっと似ていませんか?
こちらは街の玄関口のような存在の「アムステルダム中央駅」です。
オランダ全土・近隣国から鉄道が乗り入れ、加えてトラムの発着駅にもなっているだけあって、かなりの大きさです。
アムステルダム国立美術館と中央駅には共通している点があります。それは、設計を担当した建築家が一緒だということ。
どちらも、建築家のピエール・カイペルスが担当しました。
両方とも建てられてから120年以上になりますが、その均整のとれた美しさは、現在においても高く評価されています。
オランダの巨匠の作品が集う「名誉の間」
約8000点といわれる作品の中でも、黄金時代とも呼ばれる17世紀のオランダ絵画は2階の中心にある広間に集められています。
広間前のエントランス・ホールも、大きなステンドグラスのやさしい光に包み込まれた癒しの空間。
「名誉の間」と呼ばれる6つに仕切られた空間には、フェルメールやレンブラント、フランス・ハルスやヤン・ステーンなどの、17世紀のオランダで活躍していた画家たちの作品が。
4つあるフェルメール作品が一堂に会する空間。ファンにはたまりません。
日本の展覧会ではまずありえないような至近距離で、作品と向き合うことができます。
17世紀オランダの作品は、風俗画と呼ばれる日常生活を切り取ったものが多いのが特徴。
同じ時代・場所で活躍していた画家たちの作品を比較してみれば、描かれた当時の人々の暮らしぶりやファッションがわかってきます。
作品ひとつひとつが輝きを放っているかのような、特別な空間です。
つい入り浸ってしまう「夜警の部屋」
広間の奥にある間には、レンブラントの大作である「夜警」が飾られています。よって、その空間は「夜警の部屋」と呼ばれています。
名誉の間にあったのは小さめの作品でしたが、「夜警」は両手を広げても作品の端と端に到底届かないくらいの特大サイズ。
ドラマチックな瞬間を切り取っていることもあってか、すごさを通り過ぎて威圧感があります。
この作品の前には、いつも人だかりが。中には床に座ってじっくり鑑賞している人も。
レンブラントの代名詞のような作品だけあって大人気です。
例にもれず、この作品も至近距離で鑑賞できます。教科書やネットでは確認しきれない、細部の描写や暗闇の様子まで鑑賞できます。
名称 | アムステルダム国立美術館 |
住所 | Museumplein/Museumstraat 1 1071 CJ Amsterdam |
営業時間 | 9:00~17:00 |
入館料 | 大人 17,50€ 18歳以下は入館無料 ※1€=約125円 |
ホームページ | https://www.rijksmuseum.nl/jp/general-information-japanese |
《その2》マウリッツハイス王立美術館
アムステルダムから電車で約1時間のところにある、オランダ政治と経済の要所・ハーグ。実はハーグも、美術館が充実しています。
オランダで最も美しい建物!?
アムステルダム国立美術館に比べると規模は小さいものの、「オランダで最も美しい建物」と称されるのがマウリッツハイス王立美術館。
17世紀に伯爵の邸宅として使われていた建物だけあって、とても美しいのです。
小さな空間に質の高い作品が詰まった、まさに「宝石箱」のような場所です。
優しい雰囲気の天井画と、輝くシャンデリア。
きらびやかな空間に飾られているのは、選び抜かれた17世紀のオランダ絵画。肖像画や風景画、風俗画が大半を占めています。
いつもの日常から切り離されたような豪華さです。
あの「彼女」を間近で!濃密な時間を過ごす
この美術館の「看板娘」的存在が、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」です。
いっそうきらびやかな部屋に飾られており、この少女がひときわ目立っています。
暗闇の中にただひとりでたたずむ少女は、頭には青いターバンをまとい、耳には真珠の耳飾りが揺れています。
見ているものを射抜くようなまなざしと、触れてみたくなるような赤い唇。
透き通るような美しさと、凛とした美しさを持ち合わせた彼女は文句なしに美しい。
彼女の美しさに魅せられ、会いに来る人が後を絶ちません。
人気者のこの少女も、触れられそうなほど近くで堪能できます。
この絵の向かい側には、フェルメールが故郷・デルフトのようすを描いた「デルフトの眺望」もあるので必見です。
名称 | マウリッツハイス王立美術館 |
住所 | Plein 29, 2511 CS Den Haag |
営業時間 | 10:00~18:00(木曜は~21:00) |
入館料 | 14€、オーディオガイドは3.50€ |
ホームページ | https://www.mauritshuis.nl/en/bezoekinformatie-japans/ |
《その3》エッシャーパレス博物館
マウリッツハイス王立美術館から歩いて5分ほどのところにも、建物に注目したいミュージアムがあります。
それは、エッシャーパレス博物館という、20世紀に活躍したアーティストの博物館です。
独創的なエッシャーの作品に引き込まれていく
マウリッツ・エッシャーの作風は、フェルメールやレンブラントとは打って変わって「独創的」。
鑑賞者の考えを欺くような仕掛けを、作品の中にいくつも組み込んでいます。
仕掛けのしくみやその本質に迫る、ユニークな展示も充実しています。
トリックアートや現代美術に興味があるなら必見です。
かつて女王が過ごしていた宮殿
エッシャーの作品が目白押しのこの場所は、20世紀の初頭、当時のエマ女王が冬を過ごす宮殿でした。
館内の装飾はきらびやかで、当時の面影を残しています。
らせん階段の吹き抜け部分に下がっているのは、なんと地球儀型のシャンデリア。
自分の部屋のインテリアに取り入れたくなるくらい、おしゃれです。
名称 | エッシャーパレス博物館 |
住所 | Lange Voorhout 74, 2514 EH Den Haag |
営業時間 | 11:00~17:00 |
入館料 | 9€ |
ホームページ | http://www.escherinhetpaleis.nl/wp-content/uploads/2011/05/japanese.pdf |
《その4》アムステルダム市立美術館
クラシックな街並みの中に突如現れる、白い物体。すぐそばにあるアムステルダム国立美術館とは対照的な見た目。
それが「アムステルダム市立美術館」です。
意外な中身は近現代アートの宝庫
冷蔵庫?バスタブ?宇宙船?
真っ白で横長のそのフォルムは、美術館とはなかなか結び付きません。
一体これは何なのか、ぜひ自由に想像して、楽しんでみてください。
唯一無二の建物内には、1850年ごろから現代までのアートが集まっています。
作品からインスピレーションを受け取って、想像を張り巡らすにはうってつけの場所。
原色の組み合わせが強烈なモンドリアンの作品や、印象派のモネやセザンヌなど、巨匠の作品が充実しています。
展示は絵画だけでなく、グラフィックデザインや装飾など、ジャンルにとらわれていません。
現代のアートってなんだかむずかしい…と敬遠しがちな人にこそ楽しんでほしい、アムステルダムの最先端をゆくアートスポットです。
名称 | アムステルダム市立美術館 |
住所 | Museumplein 10, 1071 DJ Amsterdam |
営業時間 | 10:00~18:00(木曜は~22:00) |
入館料 | 15€ |
ホームページ | http://www.stedelijk.nl/en |
《その5》ヘット・プリンセンホフ市立博物館
ハーグから電車で10分ほどのところにある、デルフトという街。
小さいながらも、運河が街じゅうにめぐり、とてもかわいらしい景色が広がっています。
街の名産である陶器は、デルフトブルーとも呼ばれる青が美しい一品です。
大きな街から離れて、のんびりとした時間を過ごしたい人にはおすすめの場所です。
また、オランダという国を気に入った人にはぴったりのミュージアムが、この街にあります。
オランダの歴史が動いた!?ドラマチックな場所
デルフト駅から運河沿いに歩いて10分くらいのところにある「ヘット・プリンセンホフ博物館」。
もとは15世紀に修道院として建てられたもので、現在は16世紀から19世紀ごろにかけてのデルフトタイルや陶器を展示しています。
写真の左端の銅像は、オランダ建国の父ともいわれるオラニエ公ウィレム1世です。現在のオランダ王家の人々は、彼の子孫にあたります。
スペインの統治下にあった16世紀、ウィレム1世はここを居館にし、独立を目指して戦っていました。しかし、道半ばにして1584年にこの建物で暗殺されました。
現在も、その際にあびせられた銃弾のあとが壁に残っています。
オランダの歴史のドラマチックな瞬間を、垣間見ることができる場所なのです。
博物館の庭には、ウィレム1世の功績をたたえて銅像が設置されています。
ウィレム1世の功績を知ってから訪れれば、きっと濃密な時間が過ごせることでしょう。
名称 | ヘット・プリンセンホフ市立博物館 |
住所 | Sint Agathaplein 1, 2611 HR Delft |
営業時間 | 11:00~17:00 |
入館料 | 10€ |
ホームページ | http://prinsenhof-delft.nl/en/ |
作品と向き合う時間が、より幸せなものに
いつもネットや雑誌で見かけるあの作品を、いつもとは違う非日常の環境で、かつ手が届きそうなほど近くで。
そういった体験をしてみたいなら、勇気を出して訪れてみましょう。
アートと触れ合える素晴らしい環境が整っているのも、美術館や博物館の多いオランダという国ならでは。
思い切って、心に刻み込まれるようなリアルな感動を見つけにオランダへ行きませんか?
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