現在、イスラエル在住4年目。移住後に第一子を出産し、子育て中。
1970年代初めにバックパッカーで世界を旅したことがある父の影響をなんとなく受けて、いつか自分も海外に行くだろうと思っていた幼少期。
大学卒業後、1年半インドネシアへ語学留学。帰国後、某機関紙に就職。記者として働く。
もう一度海外で生活したくなり、ワーキングホリデーギリギリの年齢でドイツへ。
当時出会ったイスラエル人と結婚することになったため、そのままドイツに残る。
ドイツ生活も6年目となるころに、連れ合いから「イスラエルに移住するぞ!」と爆弾宣言を受けイスラエルに移住する。
移住当初から衝撃の連続。なんでも挑戦をモットーに日々生活中。⇒プロフィールの詳細は
イスラエルの概要
-どこ?
中東。北はレバノンとシリア、東はヨルダン、南はエジプトに隣接している。
地中海と紅海に面している。
-気候は?
南北、沿岸と高原など標高の高いところでの差がある。
春は3月頃から暑くなりはじめる。
夏は40度になる日も多い。沿岸は湿気が多いので東京のような蒸し暑さ。雨が降らない。
※洗濯物がすぐ乾くことはメリット。
秋はほぼなく、夏から冬に移行する感じ。
冬は温暖で過ごしやすい。雨が多い。大雨が降るとたまに道が川のようになる。
-人口、面積、首都
人口-約900万人
面積-2万2千平方キロメートル(四国と同じくらい)
首都-テルアビブ(国連決議)、エルサレム(イスラエルの宣言、国連では認められていない)
-言語
(右上:ヘブライ語、左上:アラビア語、右下:ロシア語、左下:アムハラ語)
公共の場では主にヘブライ語、アラビア語。公的な書類にはロシア語、アムハラ語(エチオピアの公用語)での記載も。
※移民の多い国なので街では他にも様々な言語が聞こえる。英語を話せる人が多い。
-宗教
(ユダヤ教:嘆きの壁)
(イスラム教:モスク)
(キリスト教:教会)
ユダヤ教、イスラム教、キリスト教、ドゥルーズ派など
-歴史(パレスチナ問題)
イスラエルは1948年に建国したが、それを認めない中東諸国との間で4度におよぶ戦争があった。
1993年のオスロ合意によりパレスチナ人による暫定的な自治(ヨルダン川西岸、ガザ)が認められたが、その後も多くの問題を抱えている。
-主にユダヤ歴にそった慣習
ユダヤ教では安息日は土曜日なので土曜日が休日。公共交通機関も動かない。
週の始まりは日曜日から。つまり、仕事も学校も日曜日から始まる。
祝日はユダヤ歴にそっている。例えば、イスラエルの独立記念日やユダヤ教の新年などは毎年日付が変わる。
-治安
(バスで勤務先の基地に通う兵士たち)
(公園に設置されているシェルター)
イスラエルは紛争地域とのイメージがあると思うが、生活していて治安はいいと感じる。
公共交通機関上でのスリなどはあまりない。(ヨーロッパは多い。)
イスラエルでは男女ともに兵役があるため街中では兵士の姿をよく見かける。
公共の場所にはシェルターがある。建物にはシェルターを設置する義務がある。
-性的マイノリティー
テルアビブを中心とする都市では性的マイノリティーに関しては寛容だと感じる。
毎年テルアビブで開催されるレインボーパレードには世界各国から多くの参加者が訪れる。
息子が通う保育園にも同性家族の子どもが通っている。
何を食べてる?
-コーシャ、ハラール
ユダヤ教、イスラム教には宗教上の食の規律がある。
ユダヤ教ではコーシャ(写真)、イスラム教ではハラールと言われる。
レストランや食品には印がある。
※宗教上の規律を守っているのは各人、家庭による。コーシャ以外の食品、例えば豚肉、甲殻類、貝類などを購入できるスーパーもある。
-ファストフード
手軽に食べ歩きができるファストフードが多い。
ホムス:中近東由来、ひよこ豆をペースト状にしたホムスは有名な食べ物。
※個人的にはアラブ人のお店がおいしいと思う。
ファラフェル:ひよこ豆を潰して揚げたコロッケ。揚げたてがおいしい。野菜などとともにピタ(丸い平べったいパン)にはさんで食べることが多い。
シャワルマ:日本ではケバブと呼ばれている。ピタやラファなどにはさんで、巻いて食べることが多い。肉の種類は主に羊と七面鳥。
サビーヒ:揚げたナスを野菜やホムスとともにピタにはさんで食べる。
※イスラエルで初めて食べたが一番のお気に入り。
ブレカス:揚げたパン。プレーンのもの、チーズやホウレンソウ、ジャガイモが入っているものなど種類が豊富。小さいサイズが売っていて小腹が空いたときによい。
ベーグル:ユダヤの伝統的なパン。
エルサレムミックス:エルサレムが発祥の地。鳥肉、レバー、ハツとタマネギを一緒に炒めてピタにはさんで食べる。
-各国から集まっているユダヤ人…それぞれの国の味
イスラエルには建国前に住んでいた人々とそれ以前、その後に移住してきたユダヤ人が混在している。アジア人の労働者の数も多いため、それを由来とする食文化もある。
(シシリック)
(クーベ)
(シャクシューカ)
中近東系:シシリック、クーベ、シャクシューカ、カバーブ、コフタ、シャワルマ、ジャフヌン、タヒーナ(ゴマペースト)など
ヨーロッパ系:シュニッツェル(チキンカツ)、グラーシュなど
アフリカ系:クスクス、エチオピア料理(写真)など
アジア系:タイ料理、中華料理、インド料理
ロシア系:ジョージア料理、ロシア料理
※ソ連崩壊後、旧ソ連諸国からの移民が増えた。
※連れ合いの家庭はヨーロッパ系なので、家庭ではヨーロッパスタイルの料理が多い。
-ビーガンにも優しい
(ビーガン:左とコーシャ:右のマーク)
(現地で生産されている豆腐)
(ビーガンバーガー)
(ビーガンブリトー)
テルアビブなどを中心とする都市部ではビーガンが多い。(ビーガン:肉魚類、卵、乳製品を食しない人たちのこと)
レストランにはビーガン用のメニューがあり、スーパーにはビーガンコーナーが設置されているところもある。
大豆などからできている代替肉を使ったハンバーガーは本物の肉に近い味でおいしい。豆乳からできたヨーグルト、ナッツ類からできている代替チーズ、豆腐などがビーガンにはよく食されている。
-お寿司が人気?…フュージョン寿司、フュージョン和食
近年、日本食が人気。しかし、寿司と言ってもアボカドなど野菜のみのものや巻寿司の外側に揚げカスのようなものが付いてるもの、生魚を使わないものなどフュージョン和食が人気。しょう油とわさび以外に照り焼きソース、チリマヨネーズなどがある。
テルアビブにある豚骨ラーメン屋も人気。
-あまーいデザート
バクラワ:中近東で古くから伝わる焼き菓子。ピスタチオなどナッツを使っているものも。質の良いものは甘すぎず、後味もスッキリしている。
クナフェ:チーズの上にパリパリの甘い麺状のものがかかっている。温めるとおいしい。
※わたしのお気に入り。
ハルバ:ゴマからできたお菓子。中近東版らくがんのような感じ。
マラビ:中近東版パンナコッタ。
サハレブ:エルサレムで冬の時期に出る。コーンフローからできている甘い飲み物。
-お酒:地ワイン、地ビール
各地にワイナリーがある。種類も豊富。
ビール文化は近年発達してきた。地ビールが増えた。
※写真のビールはわたしのお気に入り。
-伝統的な催事(ユダヤ教、イスラム教、キリスト教)
中でもユダヤ教について
-プーリム(2、3月頃)
おとなも子どもも仮装して祝うお祭り。旧約聖書エステル記に由来する。オズネー・ハマン(ハマンの耳)というお菓子を食べる。
-ペサハ(3、4月頃)
「出エジプト」を祝い、その苦難を忘れないための祭り。発酵させないパン「マツァ」を食べる。スーパーでもパンなど発酵に関連している食べ物は売らなくなる。パン屋は閉まる。
-ロシュシャナ ユダヤ歴の新年(9、10月頃)
(ロシャシャナに準備するものを紹介するユダヤ教徒)
ユダヤ歴の新年。リンゴにはちみつをつけて食べる。ザクロや魚料理を食べる。
ヤギの角笛を吹く。
-ヨムキプール(9、10月頃)
しょく罪の日。昨年1年間の罪を反省し、神に許しを請う日。1日断食をする。
車の運転はしない。空港も閉鎖される。
※車道が歩行者天国状態になる。
-スコット(9、10月頃)
出エジプトの後、ユダヤ人が荒野で天幕に住んだことを忘れないため、屋外に小屋を建てる。
祭りの期間、そこで食事をしたり寝泊りをしたりして過ごす。
-ハヌカ(11、12月頃)
ギリシア人の支配下にあったユダヤ人がギリシア軍に勝利して神殿を奪還した際に1日分しかなかった神殿を清める聖油の灯が8日間続いた奇跡を祝う祭り。8日間ロウソクを灯す数を一日ひとつずつ増やす。ドーナツ、レヴィボットなど油を使った料理を食べる。コマを回して遊ぶ。
※西暦の新年は通常通り。(仕事も学校もある)
イスラム教には犠牲祭、ラマダンなどの催事がある。
キリスト教にはイースターやクリスマスなどの催事がある。
それぞれ住んでいる場所によってその雰囲気が味わえる。
移住してきて感じたこと
-フレンドリー?、アグレッシブ?
イスラエルに移住する前、何度か連れ合いと一緒に里帰りをしました。その時は大抵の人が親切でフレンドリーだなという印象がありました。
移住して生活してみると違う側面が見えてきました。
大きな声で話す人、叫んでいる人をよく見かけます。時々、喧嘩をしているのかなと思うこともあります。バスでは運転のあらい運転手にあたると、立っていられない時もあります。車に乗っていても運転のあらい人が多く、たまにヒヤッとします。
しかし、基本的にはフレンドリーな人が多いと感じます。買い物の時もお店の人の「どこから来たの」という質問から世間話が始まったりします。特にお年寄りと妊婦や子どもには親切だなと感じます。公共の場では率先して席をあけてくれますし、バスでのベビーカーの乗降の際やモールなどに入るときのドアの開閉の際は誰ともなく助けてくれます。誰かが困っていたら、躊躇なく手助けしてくれる人が多いと感じます。これはイスラエルが元々移民の国だからかもしれません。何らかの理由で移住してきた人が多いため自分の経験からも率先して人を助けることに慣れているのかなと感じます。
-バラガン(ぐちゃぐちゃ)?+忍耐力がない?⇔とにかくやってみる!
移住してから学んだ言葉にヘブライ語の「バラガン=混乱」という言葉があります。この「バラガン」はよく耳にしますし、今ではわたしもよく使います。
例えば買い物に行くと、列がぐちゃぐちゃになっている時があり、そんな時は「誰が最後?」と確認してから並びます。順番を待っていると後ろから来た人が「買い物がひとつだけだから前に行っていい?」と聞かれることがあります。その時はどうぞと譲りますが、たまに当たり前のように「これだけだから前に行くね」と言ってくる人もいるので、そういう時は失礼だなと感じます。逆に買い物の多い人の後ろで待っていると「お先にどうぞ」と譲られる時もあるので、「お互い様」という気持ちが大切です。
他には役所などで手続きの順番を待っていると(写真)、たまに順番を無視して窓口に行く人がいます。役所の人に注意されても食い下がって要求を通そうとする姿を見ることが結構あります。「なんで順番を待てないのかな」と不思議に思っていましたが、この国では役所の手違いなど何らかの形で理不尽なことが起きた場合は要求を伝えるために強引になる必要があることも学びました。
診療所でも順番があるのですが、たまに先生に問い合わせたいというので、前に入らせてという人がいます。もしかしたら、すでに診察を終えた人が質問を忘れたのかもしれません。その時間が長すぎたらちょっと失礼だなと思いますが、10分程度ならしょうがないと思うしかありません。
イスラエルの会社で働いていると計画性がなく思い付きで仕事を進めていくようなところがあると感じました。日本ではきっちり計画を立ててから物事をはじめますが、この国では思いついたらまずは実行してみるという姿勢が多いです。そのために途中で予期しないことが起きたり、混乱があることもあるのですが、この「実行あるのみ」という姿勢が世界でもスタートアップの会社が多い所以かもしれません。その代わり、これはダメだと思ったら止めるのも早いです。
以上の例からイスラエルの人たちは悪く言うと忍耐力がない、よく言うと柔軟と表現できると思います。典型的な日本人とは真逆な感じです。
-ユダヤ教にそった社会⇔多様性のある社会(ユダヤ人、アラブ人、外国人)
イスラエルは「ユダヤ人国家」と言っても過言ではないと思います。社会的慣習がユダヤ教にそったものになっていたり、結婚にいたっては同宗教同士でしか結婚できない制度になっています。ただし、ユダヤ教の戒律を厳密に守っているのはユダヤ人の中でも20%にすぎず、世俗的な人が大半です。ユダヤ人国家としてヨーロッパ、アフリカ、中近東、南米、アジア、旧ソ連などからユダヤ人の移民が多く入ってきましたし、介護、建築現場などは主に外国人労働者に頼っているためフィリピン、タイ、中国などからの人々が多いです。イスラエル建国前から住んでいたベドウィン、アラブ人も含めると多様性のある国とも言えます。
まとめ
日本ではイスラエルと聞くと、紛争などのニュースをよく耳にするため物騒なイメージがあると思います。わたしも実際そうでした。
確かに「パレスチナ問題」は解決していませんが、住んでみると「普通の国」と変わりありません。むしろ多様性や柔軟性、新しいものへの探求心などがあり、興味深い国だと感じます。
英語を話せる人も多く、「よそ者」にも優しい国です。親日家も多いです。先入観を取っ払って、遊びに来てみるといろんな発見があると思いますよ。
流れに身を任せ、日本→ドイツ→イスラエルへ。なんでも挑戦をモットーに。TRIPLER「Yuki」
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