登山列車で1500mを駆けのぼれ!スイスアルプスのマッターホルンを見に行こう

散歩とビールを愛するトリップラーYoka
大阪生まれ。ライフワークは旅行と散歩、ビールを飲むこと、文章を書くこと。「暮らすように旅する」のが好きで、時々ロシアやヨーロッパ方面を歩き回っています。旅先で訪れた土地について、風や土の匂いが立ちのぼってくるようなエッセイを書くことが目下の目標。⇒プロフィールの詳細はこちら

こんにちは、Yokaです。

ある秋、アルプスの山々を歩くためにスイスを訪れました。

今回は、スイス南部の街ツェルマットで登山列車に乗り、マッターホルンを一望できるゴルナーグラート展望台を目指します。

それではスイスアルプスまでしばしの間ご一緒しましょう。

マッターホルンの街ツェルマットを目指して



ツェルマットが位置するのはイタリアとの国境にほど近い「ヴァリス地方」。

「ベルナーオーバーラント地方」と並ぶ、スイスアルプスの二大観光拠点のひとつです。

ツェルマットを訪れる人の目当ては、街の南側に天高くそびえるマッターホルン。

まるで空から見守るように、ツェルマットの街並みを見下ろしています。

ツェルマットへの行き方は?国内移動は電車で楽ちん



鉄道大国であるスイスでは、縦横無尽に張り巡らされた鉄道網が旅行の上ではとっても便利。

ツェルマットへも鉄道が乗り入れています。

空港のあるチューリヒやジュネーヴから出発するなら、近郊の駅ブリークもしくはフィスプで列車を乗り換え、それからおよそ1時間で終着駅のツェルマットに到着します。

マッターホルンに臨む展望台ゴルナーグラート



マッターホルンの玄関口と言われるツェルマットですが、街中からはちらりとしか山の姿を拝むことはできません。

そこでマッターホルンの全貌を拝むことができるのが、街の南側に位置するゴルナーグラート展望台です。

その標高は3190m。アルプスの山々と同じ目線で、マッターホルンの雄姿を一望できます。

登山列車・ゴルナーグラート鉄道



ゴルナーグラートへ向かうには、登山列車を利用します。

その名も「ゴルナーグラート鉄道」は、標高1609mのツェルマットから3089mの鉄道駅まで1500mの高低差を一気に駆けのぼります。

ツェルマットを出発し、列車はどんどん天空の世界へ。

目まぐるしく表情を変える景色は決して見飽きることがありません。

いざ乗車!ゴルナーグラート鉄道で絶景の中へ

 



ある11月の早朝、ツェルマットの坂の上にあるホステルで目を覚ますと、窓の向こうで朝の空にマッターホルンが浮かんでいました。

白い山肌は氷の色。朝日を浴びたところがオレンジに輝いています。

あのマッターホルンが、あんなに近くに!

前日は夜遅くに到着し、山々はすっかり夜の闇に沈んで見ることができなかったので、こんなにもマッターホルンに近いところで眠っていたとは思いもよらなかったのでした。

朝食をたっぷり食べから、街の中心部にあるゴルナーグラート鉄道の駅へ。

オレンジの車両に乗り込んだら、ゴルナーグラート展望台を目指して、出発!

ツェルマットを出発!座席はぜひ右側で



こんなぶれぶれ写真しかなくてごめんなさい。発車すると、ツェルマットの街並みがだんだんと遠ざかっていきます。

マッターホルンが車窓からよく見えるのは右側の座席。

約30分の列車旅は絶景の連続です。

右側の座席を陣取るためにも、乗車するならなるべく朝の早い時間帯がおすすめです。

私が乗車したのは8時半頃の電車。アルプス観光のオフシーズンということもあり、乗客の姿はまばらでした。

森林限界を抜け、草原から石だらけの世界へ



急勾配の登り坂に敷かれた線路の上では、体が背もたれにずっしりと沈みます。

坂道を列車は力強く登り始め、ツェルマットの街のすぐ外側に広がる林の中に突入していきます。

ツェルマットからゴルナーグラートまで、途中で経過する駅は4か所。

 

ツェルマット(1604m)→フィンデルバッハ(1770m)→リッフェルアルプ(2210m)→リッフェルベルク(2582m)→ローテンボーデン(2815m)→ゴルナーグラート(3089m)

※( )は駅の標高

 

リッフェルアルプの駅を通り過ぎると間もなく森林限界です。

つまり、高木が生育可能な環境である標高を超えるということ。

唐突にそれは訪れました。木々が姿を消すと同時に秋枯れの朽ちた野の色が一面に広がりました。

電車に揺られながら、人間の住む下界からどんどん遠ざかっていくのがわかります。

それに視界の大部分を占める、真っ青な空の色。その景色の美しさにため息がこぼれました。

そして丘の向こうで、白く輝くマッターホルンが全貌を現し始めます。

雪景色から、やがて終着駅へ



急勾配にひるむことなく、列車は蛇行しながら山を駆けあがっていきます。

リッフェルベルクの駅に着く頃には、野原を真っ白な雪が覆うようになりました。

いつも車窓の向こうにそびえるマッターホルンは、まるで登山列車を見守っているみたい。

その力強い出で立ちを目の当たりにすると、山に霊が宿ると考えた日本のご先祖様の気持ちがとてもよくわかります。

空のど真ん中にある展望台ゴルナーグラート



空の中に飛び込んでいくような列車はやがて終着駅に到着しました。

時刻は9時。ツェルマットの街はどこにも見えません。その代りにアルプスの山々が視界を埋め尽くしています。

ゴルナーグラート展望台は、鉄道駅からもう少し上ったところにあります。

てっぺんまであとひと息!

ゴルナーグラート駅ではマッターホルンがお出迎え



列車を降りてすぐのところに柵で仕切られた広場があり、その向こうにマッターホルンが全貌を現していました。

その稜線はびっくりするくらいに「まっすぐ」。

元々違う形であった山を、神様がナイフでそぎ落として作ったみたいな形をしています。

ちょっとはしゃいだ写真をひとつ、パチリ。まさに天にも昇るような気分です。

雪で覆われたやや急な斜面を登り始めると、すぐに息が切れるので驚きました。

そうか、これが高地ってことね、と酸素の薄さを実感する一方で、わくわくしながら登ります。

坂を登りつめると、そこは四方が開けた展望台。ゴルナーグラートの山頂に到着したのでした。

標高3130mでアルプスの山々にご挨拶



幸運だったのは、その日、雲ひとつない快晴に恵まれたこと。

氷の色をした山々と同じ高さのところに立っていました。

頭上には深い色をした青空。透き通っていながら重みのある青です。

手を伸ばせば届きそうなところに、氷の山と氷河、登り始めた太陽がありました。



あたりは静寂に包まれています。耳に届くのは高地に吹きすさぶ風の音ばかり。

そんな静けさの中で、長いことアルプスの景色を眺めていました。

美しい景色に出会うと、また来るね、と心の中でいつも呼ばわります。

その時も同様で、展望台はとても去りがたく、ベンチに腰を下ろしてマッターホルンを眺めながら、しばらくチョコレートをかじっていました。

絶景コーヒーでひと休み



去りがたさを噛みしめながらも展望台を降りると、レストランがありました。

テラス席ではアルプスの眺望を楽しみながら食事ができるという粋なお店です。

ちょうどコーヒーが飲みたいと思っていたところ!

ダウンの中にフリースを着こんでも冷えるくらいの気温ですが、せっかくなのでテラスの一席を選びました。

熱いコーヒーを流し込むと、じんわりと温かさが広がっていきます。

目の前にはマッターホルン。なんて贅沢なお茶のひととき。

すぐそばのフェンスに黒い鳥が一羽、留まっています。

こんな高いところで、何を食べて暮らしているのでしょうか。

帰りはぜひ途中下車を。スイスアルプスでハイキング



下りの列車に乗る頃になると、マッターホルンがひときわ愛おしくなる。

またいつか来まーす、と心の中で告げて登山列車に乗り込みました。

列車は氷の大地をゆるゆると下り始めます。

さて、ここからはアルプスで散歩の時間。

ローテンボーデンの駅は、枯れた草の色をした山の斜面に唐突に現れます。

歩けるところまで歩いてみよう。小さなホームに降り立つと、ハイキングのスタートです。

マッターホルンに見守られ、不思議な景色の中を歩く



小高い丘のてっぺんに建つ駅の外に出ると、不思議な景色のど真ん中に放り出されていました。

草という草は枯れ果て、茶色の地面が遠くまで続きます。

氷の山が壁のようにそびえ立ち、ところどころの地面を雪が覆い、その間で大小の石がごろごろしています。

まるで地球じゃない、他の惑星に来たみたい。

独りきりだった私は、歩き出すのにちょっと勇気が要りました。

それにしても、見渡す限り道らしい道なんてありません。

ここから下れるはずなのに、と目を凝らすと、茶色い野原の真ん中に小さな標識が見えました。

上の写真にも小さく写っています。わかるでしょうか。

坂を下って標識に近づくと「リッフェルベルク」の文字。

指し示す方向を見やると、地面に転がる岩に小さな赤いマークがつけられています。

それがハイキングコースの目印でした。

 

きっと春や夏には一面が緑に覆われ、高山植物の花々が咲き乱れるのでしょう。

しかし当時は11月の後半。あたりはしんと静まり返っています。

同じ列車に乗って来た韓国のカップルが、丘の向こうに時々姿を見せる他に、生き物の気配は全く感じられません。

そんな枯れ果てた不思議な景色に胸を躍らせながら歩きます。

単なる美しさとは違う、訪れた人をぞっとさせるような気配が漂っています。

しばらく石のごろごろした秋枯れの大地をとぼとぼと進みます。



いつも正面にはマッターホルンがありました。

体の向きを変えても、マッターホルンだけはいつも同じところにある。

小高い丘を登ったり、真っ白に凍り付いた湖をまわりこんだりしながら歩きます。

骨の折れた雪道の始まり



マッターホルンが丘の向こうに姿を消すと、地面はやがて雪道に変わりました。

積もっているところでは膝近くまでが雪に埋まります。それにアップダウンも多い。

トレッキングシューズこそ履いていたけれど、アイゼンはありません。

足場がどんどん悪くなるのに不安を募らせていたところへ、先程の韓国のカップルが近くで雪道に四苦八苦していました。

「こりゃ大変だ!」というようなことをお互い話していると、だんだん不安がまぎれて、気が楽になってきます。

ざくざくと急な斜面を降ったり、氷に足をとられて転んだり、お尻で斜面を滑り下りたり。

そのたびにはしゃいだ声をあげながら、なんとか三人でリッフェルベルクに到着しました。



さらに下のリッフェルアルプまでは、それまで以上に骨の折れる道のりでした。

カップルと別れ、ずいぶんと長い距離を独りきりでひたすら歩きました。

雪道はまだ序の口でした。もっと恐ろしいのは下り坂がところどころで凍り付いていて、つるつる滑ること。

転んだら起き上がるのにも一苦労です。一度、幅の狭い坂道で起き上がろうとして、崖側に体がずるずる引き込まれてしまって肝を冷やしました。

リッフェルアルプの駅舎になんとか辿り着いた頃には身も心も疲れ果て、下りの登山列車を待ちわびていました。

装備についての注意



初心者ハイカーとしての経験から装備について書かせていただきます。

スイスアルプスはハイキングやトレッキングの聖地。

いたるところに登山コースが張り巡らされ、その難易度も様々です。

今回私が歩いたのは、基本的には軽装で臨むことのできる初心者向けのハイキングコース。

ただし11月の後半となると話は別です。

秋風も冷たくなる頃にアルプスを歩くという方は、念のため、ザックの中にアイゼンを忍ばせていってください。地面は凍っています。

写真は斜面でひと休みする韓国のカップル。一緒にはしゃぎながら雪道を降ったのがいい思い出です。

まとめ

早朝の宿で、しっとりとした朝の空にマッターホルンを初めて見た時の胸の高鳴りを忘れられません。

それに展望台で目にしたアルプスの大パノラマ。違う惑星のような不思議な景色。

時々、あの石と枯草だらけの景色を独りで歩いたことを今でも思い出します。

私がスイスを訪れたのは緑も花も紅葉もない、ハイキングのオフシーズン。

しかし、四季折々で異なった表情を見せてくれるのがアルプスの山々です。

思い立ったら吉日!アルプスに会いたくなったら、スイスまでちょっと散歩しに出かけてみましょう。

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