スイスのユングフラウ鉄道からの眺めが絶景すぎる!ユングフラウヨッホの行き方まで詳しく紹介

海外体験

 

こんにちは、Yokaです。

ある秋「アルプスで散歩がしたい」と思い立ち、スイスを訪れました。

今回旅するのは、アイガーやメンヒなどの山々が美しい「ベルナーオーバーラント地方」。

登山列車ユングフラウ鉄道に乗り、標高3454mの鉄道駅ユングフラウヨッホを目指します。そこで待っていたのは、アルプスと氷河が全景に広がる別世界!

それでは美しいスイスアルプスまで、しばしご一緒しましょう。

スイスのベルナーオーバーラント地方を目指して

「ベルナーオーバーラント地方」はスイスのほぼ中心に位置し、スイスアルプスの一大観光拠点として知られます。

ある11月の晴れた日、なだらかな丘陵地が広がるスイスの風景を眺めながら、スイス国鉄の列車に揺られてベルナーオーバーラントを目指しました。

この日の宿泊地はベルナーオーバーラントの入り口にある町、インターラーケン。チューリヒ空港からは列車で2時間ほどの道のりです。

湖に挟まれたインターラーケンの南側に、アルプスの山々や見どころとなる村々が点在しています。

スイスは鉄道の国。国中に鉄道網が張り巡らされているだけでなく、ベルナーオーバーラントの一帯でも登山列車やロープウェイがアルプスの麓に点在する村々を結んでいます。

ユングフラウ三山とユングフラウヨッホ

ベルナ―オーバーラント地方の中核となるのが「ユングフラウ三山」と呼ばれる3つの峰です。

山の名前は、写真左から「北壁」で有名なアイガー、真ん中がメンヒ、そして右側がユングフラウ。

世界中のハイカー、アルピニストにとって憧れの存在です。

そしてユングフラウとメンヒの山頂を結ぶ稜線上に位置するのが、標高3454mの「ユングフラウヨッホ」と呼ばれるエリアです。

またの名を「トップ・オブ・ヨーロッパ」。登山列車で訪れることができ、ユングフラウヨッホ駅はヨーロッパで最も高い場所にある鉄道駅です。

ユングフラウ鉄道とその歴史

麓の村とユングフラウヨッホを結ぶのが、「ユングフラウ鉄道」。アイガー、メンヒの地中に通されたトンネルを駆けあがり、約50分で約1400mの高低差を登りつめます。

驚くべきはその歴史。

なんとユングフラウ鉄道が開通したのは1912年。

100年以上も前に、スイスの人々は険しいアルプスの山中をくり抜いてトンネルを作り、アルプスの頂きまで鉄道を走らせました。

その技術力もさることながら、鉄道建設に対するど根性にも頭が下がります。

ユングフラウ鉄道で「トップ・オブ・ヨーロッパ」へ

ユングフラウ鉄道の始発駅であるクライネシャイデック駅へ向かう列車が、アイガーの麓の村グリンデルワルトから出発しています。

まずはインターラーケンから列車でグリンデルワルトへ向かいます。

グリンデルワルトはアイガーに抱かれた村。

ここから、多くの登山家がアイガーを目指して出発します。

ハイキングコースやロープウェイの起点でもあり、アルプス散策の拠点としても便利な村です。

夜の明けきらないうちにインターラーケンを出発し、朝の7時頃、グリンデルワルトの鉄道駅に到着しました。

朝焼けの空にアルプスの稜線がきりりと浮かび、山々が暗い壁のように視界を切り取っています。

11月のグリンデルワルトの早朝は肌寒く、着こんだダウンのぬくもりが心強い。

グリンデルワルトからクライネ・シャイデックへ

プラットフォームでは、ごついマウンテンウエアを着こんだ人々が列車の出発を待っています。

私もトレッキングシューズで足元を固め、登山列車に乗り込みました。

発車してすぐ、列車はずんずん山肌を駆けあがっていきます。

車窓からグリンデルワルトの町を見下ろすと、丘の斜面に山小屋(シャレー)風の建物が散りばめられています。

『ハイジ』の景色そのものでした。

間もなく列車は隣町グルントの駅へ。

しかし駅に着いた途端、なんと列車がスイッチバック。

それまでの進行方向とは反対に列車が進み始めたので、慌てて座席を移動しました。

グリンデルワルトで乗車する時は、進行方向と反対の向きに座りましょう。

ユングフラウ鉄道でアルプスの絶景の中へ

標高2061mのクライネ・シャイデック駅に到着すると、朝の薄青い空が広がっていました。

入線しているユングフラウ鉄道の車体は真っ赤。

空の青と山の白、黒、そして大地のグリーンの中で、ユングフラウ鉄道の赤は素晴らしく映えます。

さあいよいよ、標高3454mのユングフラウヨッホを目指して出発進行。

アルプスの山肌が迫る中、グリーンの大地と街の景色はどんどん遠ざかって行きます。

トンネルに入る直前に停車したのは「アイガーグレッチャー駅」。

駅の見晴らし台に出てみると、天界と地上のはざまに立っているようでした。

景色の素晴らしさにめまいがしそうになります。

これからユングフラウヨッホまで、列車はアイガーとメンヒの地中を潜って登ります。

なんてたくましい列車。

日本の日常から、ずいぶんと遠くまで来たのだなあと実感します。

アイガーを抜けて

列車がトンネルに突入します。

「ゴー」という音が前方から後方へと流れていく。

線路はなかなか急勾配で、座席の背もたれに背中がぐっと沈みます。

ジェットコースターがレールの上を登っていくみたい。

トンネルの中で列車が停まりました。

「アイガーヴァント駅」です。

「アイガーの壁」を意味するこの駅は、アイガーの北壁のただ中に位置しています。

岩壁をくり抜いて作られた展望台から外の世界を見ると、緑の大地が視界から消え、雪と氷で覆われたアルプス山脈のど真ん中に立っていました。

岩肌も氷もごつごつしていて、ここからうっかり転落したら…と嫌な想像が頭をよぎります。

列車に戻るとまもなく出発。

とんでもない場所に来てしまった、という興奮で胸が躍ります。

標高3571mの別世界へ。ユングフラウヨッホでの過ごし方

「ユングフラウヨッホ」。

車内にアナウンスが響き、ユングフラウ鉄道は終着駅に到着しました。

訪れる人のお目当ては、標高3571mからアルプスを見渡せるという「スフィンクス展望台」。

岩をくり抜いて作られた駅からは、建物を抜けてエレベーターで昇ることができます。

早速展望台を目指しました。

スフィンクス展望台とアレッチ氷河

外に出た瞬間に、体が凍り付きそうな風が顔に吹き付けました。

手を伸ばせば届きそうなところにアルプスの尖った山頂があります。

そして息をのむほど美しい、氷に覆われた世界が広がっていました。

高く昇りつつある太陽の光を受け、氷で覆われた大地が輝いています。

眼下に横たわるのはアレッチ氷河。

ヨーロッパ最長の氷河です。

1年に180mほど流れている、という説明書きを読んでも、目の前の河はかちこちに凍っていてぴんと来ません。

空の色は透き通ったブルー。天に近いところに立っていました。

早起きの甲斐あって、観光客は私と同じく始発電車に乗ってきた数名だけ。

静かな展望台で氷河の眺望を存分に楽しみました。

アルプスを背景に、居合わせた人に記念写真を撮ってもらいます。

やがて次の電車が到着したらしく、人の群れが展望台にあふれてきます。

階下に降りて、他のアトラクションも見学してみましょう。

アイスパレスとプラトー展望台

建物の中を歩いていると部屋じゅうが氷で覆われた場所に出ました。

凍った床に足をとられそうになって、慌てて手すりにしがみつきます。

ここ「アイスパレス」は1930年代に作られた氷の宮殿。室温はマイナス3度に保たれており、氷があらゆる音を吸い込んでいるかのような静けさが満ちています。

アイスパレスの中を進むと屋外に出ました。

展望台から一望した氷の世界とは対照的に、足元は雪で覆われています。

「プラトー」と呼ばれるもうひとつの展望台です。

スイスの国旗が立てられていました。

ユングフラウヨッホの建物にはレストランやおみやげのショップも併設されています。

時間があるなら、ガラス越しにアルプスの絶景を眺めながら食事をしたり、記念品を購入したりするのもよいでしょう。

のんびりハイキングを楽しみながら山下り

時間に余裕があるなら、下山時は全線で列車に乗るのではなく、山歩きも楽しみたいところです。

クライネ・シャイデックまでユングフラウ鉄道で下った後、さらに下の村まではのんびりと歩いていくことにしました。

スイスのハイキングコースについて

山歩きの聖地であるスイスアルプスでは、いたるところにハイキングコースが張り巡らされています。

特殊な装備の必要なコースから軽装で散歩できるコースまで、難易度は様々。

旅行の計画を立てる際は、ガイドブック等でコースを想定の上、装備や服装を検討することをおすすめします。

コース上にぽつりぽつりと立っている、行き先を示す標識を辿りながら歩きましょう。

また、アルプス観光のオフシーズンには、多くのハイキングコースやロープウェイが整備・点検のためクローズします。

「トップ・オブ・ヨーロッパ」の公式ホームページはコースのオープン状況、鉄道等の運転情報を掲載しており、事前のコース選定で大いに役立ちます。

クライネ・シャイデックから徒歩でヴェンゲンへ

列車で標高2061mのクライネ・シャイデックまで一気に下りたら、標高1275mのところにある西側の村ヴェンゲンまで、なだらかなハイキングコースを歩くことにします。

上の写真はクライネ・シャイデックの駅舎。

写真下の中央あたり、手前に伸びている坂道を下り始めました。

私の訪れた11月はアルプス観光のオフシーズン。

アルプスの景色の中を歩いているのは私一人きりでした。

ときたま、遠くのほうで誰かのマウンテンウエアの赤やオレンジが揺れるのを見かけます。

左手にはユングフラウ三山のドラマチックな風景が広がり、行く手にはどこまでも秋枯れの色をした草地が続いています。

花々が咲き乱れ、緑の鮮やかなアルプスを歩く楽しみは次回に譲るとして、物悲しくも美しい秋の風景の中を、ひたすら静かに歩いていました。

山を振り仰いで目を凝らすと、稜線上に小さな建物を見つけました。

ユングフラウヨッホの展望台です。さっきまであんなところにいたんだ!と改めてびっくり。

写真では小さなユングフラウヨッホ、わかるでしょうか。

山を眺めながら、意気揚々と下っていきます。

やがて通り過ぎた丘の向こうに、ユングフラウ三山の姿が消えました。

穏やかな秋の日でした。

歩き続けていると、心が落ち着いてくるのがわかります。

日常の色々な疲労や悩み事から、ずいぶんと遠く離れた場所を歩いていました。

坂道を下るにつれ体が軽くなっていきます。

ヴェンゲンに到着!次の村へ

小さな森をくぐり抜けると遠くに集落が見えました。

ヴェンゲンの村です。

なだらかな山裾にオレンジの屋根の色が広がっています。

村に近づくと、草地の上を猫が歩いていました。

飼い猫でしょうか。

猫は無言で私の前を通り過ぎていきました。

やがてヴェンゲンの鉄道駅に辿り着き、その日の山歩きが終わりました。

クライネ・シャイデックから歩くこと約2時間、距離にして約7km。アルプスの美しい景色に終始囲まれた、とても贅沢な散歩でした。

ヴェンゲンからはロープウェイを乗り継ぎ、グリンデルワルトに戻ることもできますし、列車で少し下ればU字谷の美しいラウターブルンネンの村もあります。

もちろん穏やかな雰囲気のヴェンゲンに滞在するのもよいでしょう。

ベルナーオーバーラント地方では旅のコースを決めるのも楽しみのひとつです。

まとめ

ユングフラウヨッホへの行き方

最後にまとめとして、ユングフラウヨッホへの行き方をもう一度ご紹介します。

ユングフラウヨッホへの出発地点は、ベルナーオーバーラントの入り口の町、インターラーケン。

列車ならチューリヒやジュネーブから訪れる場合など、多くの場合でベルン駅を経由し、列車を乗り換えてインターラーケンを目指します。

インターラーケンには「オスト駅」と「ヴェスト駅」の2種類がありますが、グリンデルワルト方面への列車が発着するのは「インターラーケン・オスト駅」。

「オスト駅」で登山鉄道に乗り込んだら、山をどんどん登ります。

以降の列車の乗り換え方法については以下の表をご参照ください。

乗降駅
インターラーケン・オスト グリンデルワルト方面へ向かう登山鉄道に乗車。
車両の前半分がグリンデルワルト行き、後ろ半分がラウターブルンネン行き。
途中の駅で車両が切り離されるため、乗車前に車両の行き先を確認しておこう。
グリンデルワルト 列車を乗り換える。クライネ・シャイデック方面へは、すぐ隣のホームから発車。
クライネ・シャイデック ここから終点のユングフラウヨッホまでを結ぶのがユングフラウ鉄道。
到着したら、赤い車両を目印にユングフラウ鉄道に乗り換えよう。
アイガーグレッチャー
アイガーヴァント
アイスメーア
途中、3つの駅に停車する。それぞれ数分間停車するので、駅構内や展望台の見学が可能。
下りの列車では通過してしまうので、上り列車で見学しておこう。
 ↓
ユングフラウヨッホ 到着!

 

スイスアルプスは都会の喧騒、慌ただしさからかけ離れた場所。

地方全体に特別な空気が満ちていて、人と自然だけでなく、人と人との距離すら縮めてしまいます。

牧草地を歩きながら山や空を眺め、すれ違う人と「ハロー」と挨拶をする。

宿に到着する頃には足はしっかりとくたびれて、アルプスに洗われた心はすっきりと軽くなっています。

今でも時々、スイスアルプスを歩いた時のことを思い出します。アルプスの山々は特別な存在。

またいつか会いに行きたいと思っています。

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散歩とビールを愛するTRIPLER「Yoka」
大阪生まれ。ライフワークは旅行と散歩、ビールを飲むこと、文章を書くこと。「暮らすように旅する」のが好きで、時々ロシアやヨーロッパ方面を歩き回っています。旅先で訪れた土地について、風や土の匂いが立ちのぼってくるようなエッセイを書くことが目下の目標。⇒プロフィールの詳細はこちら

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